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  1. 大分県議会 1990-06-01
    06月27日-03号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成 2年 第2回定例会(6月)平成二年    大分県議会定例会会議録(第三号)第二回平成二年六月二十七日(水曜日)     ----------------------------- 議事日程第三号        平成二年六月二十七日     午前十時開議第一 一般質問及び質疑     ----------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 一般質問及び質疑     ----------------------------- 出席議員 四十四名  議長  後藤国利  副議長 壁村史郎      後藤利夫      荒川九州男      古田き一郎      釘宮 磐      佐々木敏夫      麻生一三      岩尾憲雄      日野立明      長尾庸夫      吉武正七郎      牧野浩朗      三浦良隆      佐藤佑一      安部紀昭      仲道俊哉      古手川茂樹      長田助勝      相良補三郎      池田秀人      阿南結城      矢野竹雄      本多睦治      永吉 凱      首藤健次      工藤秀明      堤 隆一      山田軍才      甲斐信一      宮本憲一      荒金信生      緒方喜代美      阿部浩三      美口光男      相良勝彦      浜田 博      吉山和人      木許 晃      古屋虔郎      福田正直      柴田 明      重野安正      松木信善欠席議員 三名      友岡春夫      今永 親      麻植敏秀     ----------------------------- 出席した県側関係者  知事     平松守彦  副知事    芳山達郎  出納長    安藤木六  教育委員長  田口舜一  総務部長   帯刀将人  企画総室長  吉田 哲  企業局長   鈴木一正  教育長    宮本高志  警察本部長  梅沢五郎  福祉生活部長 吉良省三  保健環境部長 安東 保  商工労働         千手章夫  観光部長  農政部長   池辺藤之  林業水産部長 小野和秀  土木建築部長 松浦たかし  人事委員会         後藤栄治  事務局長  監査事務局長 安藤正勝  地方労働委員会         溝部文人  事務局長  総務部次長  飯田益彦  総務部次長         魚返敏之  兼秘書課長  財政課長   青木信之     -----------------------------     午前十時四十五分 開議 ○後藤国利議長 これより本日の会議を開きます。     -----------------------------後藤国利議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第三号により行います。     ----------------------------- △日程第一 一般質問及び質疑 ○後藤国利議長 日程第一、第五九号議案から第七一号議案まで並びに第二号報告及び第三号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑にはいります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 日野立明君。 〔日野議員登壇〕(拍手) ◆日野立明議員 平成二年の第二回定例会におきまして質問の許可をいただきましたので、県政全般にわたりまして知事及び部長に質問をいたしたいと思います。 まず、九州横断自動車道について質問をいたします。 大分県では、昨年、湯布院-別府間が開通し、本年三月十日には日田-朝倉間が開通をいたしましたが、残された区間も別府-大分日田-湯布院間となり、工事が順調になされておりますが、未開通区間の国道の渋滞が大変深刻になっております。 特に、六月議会における市町村議会の論議の中で、日田市議会を初め沿線町議会におきましても、二一〇号線の日田-湯布院間の交通渋滞ぶりは最近、日常的になっております。どの論議においても、この渋滞の緩和の即効薬は全線開通しか見出せず、深刻の度は深まるばかりでございます。日田方面から湯布院方面に向かう車の七割は大分、別府で、県においても用地買収等については多くの職員を投入をし、早期実現に取り組まれておることは理解しておりますが、現時点でこのような現状をどのようにお考えでございますか、お聞かせをいただきたいと思います。 別府-湯布院間、また日田インターでの乗降車の数は開通前の予想と開通後の交通量はどのようになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。 全線開通時について、知事は平成五年を目標と言っておりますが、公団側は九〇年代中ごろと巷間言っております。知事の言うように平成五年ということにはならないか、お聞かせをいただきたいと思います。 九州横断自動車道の福岡県側四車線、大分県側二車線となっているが、交通量によっては早急な四車線化の促進はできないか、お聞かせをいただきたいと思います。 次に、過疎新法についてお聞きをいたしたいと思います。 過疎地域活性化特別措置法過疎地域振興を目的とした新法として今年春よりスタートをいたしましたが、新法では過疎地域の指定基準が若干変わり、県下では玖珠町と大山町の二つの町が全国百三市町村の中にはいり、過疎地域の対象から除外をされましたが、町にとっては両町とも大半の予算が経常経費に充てられているため、事業などに自由に使える財源は限られ、町村にとりましては過疎債は優良債でありまして、過疎債の比重はかなり高いものとなっております。このため、軽減措置は数年間段階的にとられておりますが、過疎債の配分がなくなれば、両町には財源面で大きな影響が出てくることは避けられないと思います。 国は、指定基準の人口減少率などの数字を、今年が国勢調査の年に当たるから、その結果が出れば、昭和四十年から平成二年の二十五年間の間に変更をさせる予定という。このため、新基準が出れば、大山、玖珠の両町が過疎地域に再び指定をされる見通しがあるのか。また、県は両町についていろんな施策についてバ。クアップすると言ってくださっておるようですが、具体的にはどのような事業に協力ができるのか。また、教育施設等が年次計画で建てかえ、建設をされておりますが、教育施設等については特にバックアップすべきだと思いますが、どのような考え方を持たれておるか、ご答弁をいただきたいと思います。 大分空港の国際化問題についてでございますが、大分空港は九州及び西瀬戸地域の中心に位置し、海上空港であるという特性を有する大分空港を西日本における基幹的国際空港として位置づけるということで、昭和六十三年十月末には三千メートル滑走路の供用開始となり、長距離国際線用の航空機の就航も可能な大型空港となった大分空港はその後どのような動きになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。 ここ三年間の国際チャーター変大分空港での推移を見ると、六十二年に七十五便、六十三年に七十一便、平成元年には五十三便と減少傾向にあるが、CIQ--税関出入国管理、検疫体制の確立はどうか、お聞かせをいただきたいと思います。 また、香港のドラゴン航空等の件ですが、長崎、熊本、大分のいずれかの空港の乗り入れを検討しておるようでございますが、大分の乗り入れの見通しをお聞かせください。 次に、リゾート開発に関する質問をいたします。 九州横断自動車道の開通をにらみ、九重、湯布院、玖珠を中心に分譲別荘地の開発が大変な勢いで進行中であります。大部分は県外資本の進出であります。高原に向かって車を進めますと、赤や黄の原色で「ただいま温泉付き別荘売り出し中」と文字で旗や看板が無数に目にはいります。まさに九州横断自動車道ハイウエー効果をねらったリゾート開発であります。 土地を売った町の人に会って聞いてみますと、考えていたより何倍も高い、山を持っていても金にはならない、今のままだと生活は維持できませんので、批判はあるかもしれないが、町の活性化にはつながると思う、このような返事が返ってきます。 また一方では、乱開発で環境を損ねている、自然を守る立場からは危機感が示される、毎日、テレビ、新聞等でこのような情報に接しない日はまれである、このような状態の中で町や地域も集会の中で問題の取り組みがなされております。県は、どのような行政指導をされておりますか、お聞かせいただきたいと思います。 なおまた、警察本部長に要望をいたします。 報道によりますと、県警では本年五月三十日、福岡市内の不動産業者を、九重町田野において無許可で土地の販売行為をしたとして、宅地建物取引業法違反の疑いで家宅捜査をするなど違法行為の摘発に着手したことを承知をいたしておりますが、この事案は現在捜査中の事件でもありますので、その捜査の状況なり今後の捜査の見通しについてはお聞きをいたしませんが、このような行政指導に沿わない悪質な業者に対しては今後とも厳正な対処をされるよう要望をいたします。 次に、県の新農業振興計画について質問をいたします。 昨日も先輩の仲道議員から質問がなされましたので、重複を避け、質問をいたします。 努力をすれども、旗を振れども低迷の統く大分県農業を発展をさせる、農業所得の倍増を図る県の新農業振興計画がまとまり、知事に答申をなされたことについて農民の一人として心強く感心をいたしております。 現在の農業振興計画は昭和五十九年に出されたもので、その間、五年間で計画が見直されたわけですが、それは米の過剰生産が深刻化するなど農業情勢の激変したことなどが理由のようでございますが、今回は向こう十カ年間の計画で立案されておりますが、また状況が変わった時点では見直し等があり得るのか。 新計画が出されたことに伴い、大きくは県下十二ブロックとするも、県農政部は各市町村に農業振興計画の立案を求めるようでございますが、いつごろまでに市町村からの提示が出るのか。この提示が出ない限り、この計画実行はできないと思いますが、農政部長の考え方をお聞きをいたしたいと思います。 また、農業の担い手である中核的農業者数も年々減少傾向にある。このような状況に対処し、中核的農家の確保を図り、生産性の高い農業経営の創出をするために新規就農促進対策事業を行うようですが、どのような計画内容で、現状どのようになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。 また、三月議会の構成がえによって私は総務警察委員の一人として、県下地方振興局県税事務所の行政視察で感じたことでございますが、大分市を中心とする都市部では大変景気が好転をしておるようにお聞きをいたしております。県が特定不況地域に指定をしております県南・佐伯地方でも、局長等の話では景気はよいと間いております。県下でも農林業地域においては、景気がよいどころか、まだまだ厳しい状態にあります。今回の全県的な農業振興計画は理解ができますが、特に農業が基幹産業である中山間地域に対する特別な農業振興策を講じ、地域の底上げを図る考えはないか、お間かせをいただきたいと思います。 最後に、本県の看護教育県立厚生学院のあり方について、必要性を述べながら質問をいたしたいと思います。 医療、医術の進歩や高度化に伴い、また疾病構造の変化、人口の老齢化、社会情勢の変動の中で、県民の医療に対する需要は増大するとともに複雑多様化をしております。その需要を満たし、これに対処するためには、保健医療関係者の質的向上と量的充実が必要と思われる。看護の役割は健康の各段階への援助であると言われており、対象のニーズを満たす看護ケアの提供ができるようにするために的確な看護判断と行き届いた看護実践ができる質の高い看護者が期待をされ、また看護の役割の拡大に沿って施設から地域へ、地域から施設へなど継続看護の必要性も一層高まり、プライマリーヘルスケアの対応とともに、地域看護活動への期待もますます増大をするものと思われる。広い視野で人々の健康問題をとらえ、的確に判断し行動できる能力を備えた総合看護ケアの提供が期待をされていると思われる。 また、人口の老齢化と医療需要から見ても、本県の老齢人口の割合は、昭和六十年では十六万三千人で一三・一%である。全国比率一〇・三%に比べ、老人人口の占める割合は大きい。これが平成十二年度、二十一世紀には二十五万六千人となり、割合では二二%を占める。五人に一人は六十五歳以上の老齢者となることが予想をされている。 有病率、寝たきり率痴呆性老人の出現率など高齢になるに従い上昇をすることから、前述のような人口構造の変化により大分県においては一足早く疾病を抱えた老人が増加していくことが予想をされます。さらに、入院患者の三九%は六十五歳以上の老人患者であり、その年齢層の三〇%に当たると言われる。 このようなとき、人間性豊かな看護、地域での中間施設や訪問看護などによる濃密で持続的な看護需要が高まってくると思われる。 昭和六十二年、社会情勢の変化に伴い厚生省は看護制度検討会で、二十一世紀に向かって期待をされる看護職の要件として、次のことを掲げている。 専門職として誇り得る社会的評価を受けるものであること、国民から信頼をされるに足りる専門的知識、技術を有し、あわせて社会の変化に対応できるようみずから研さんに努力することができる人、患者の心理について人間として感性高く受容することができる資質を持ち、問題解決のための方法等を的確に判断する力を持っていること、多くの職種と協力しながら患者の最適な療養生活が行われるよう調整役となり、よきリーダーシップを発揮できる人。 このような状況の中で昭和六十三年までに四年生大学は全国で十一校、短期大学は五十八校となっております。短期大学のない県は、全国では十五県であり、九州では大分県、佐賀県、宮崎県である。本県の厚生学院も、明治三十六年開設以来、県内唯一の総合看護教育の場として八十七年間の長きにわたり数多くの人材を送り出しております。 国民健康づくり運動の推進に沿って、地域保健活動及び医療の充実が図られておる県下の医療施設、保健施設は着々と整備されつつあるが、平成四年には新県立病院も開設をされ、県民医療の前進が大きく期待をされている。こうした時期に県政の基本理念の一つである健康についての推進者である看護職能人のあり方について考えるとき、地域の保健ニーズの多様化の中で地域の特性を生かし、きめ細かく、かつ総合的に対応していくためには質の高い人材の育成が緊急の課題と思われる。そのためには、充実をした基礎学習と専門教育の場として、将来展望の上に立ったハイレベルの学校の施設がぜひとも必要であると思われる。 そこで、次の点について質問をいたします。 厚生省の看護制度検討会の報告をどのように受けとめられておるか、また、今後、看護婦等の就業状況の見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。 厚生学院の移転は平成五年と目されておるようですが、移転を機に教育内容の高度化、充実のために教育機器並びに施設の整備をどのように考えておられるか。 最後に、入学定員についてもこの際検討し、枠を広げる考えはないか、お聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。清聴ありがとうございました。(拍手) ○後藤国利議長 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 日野議員の私に対するご質問にお答え申し上げます。 九州横断自動車道の開通時期についてでございます。 現在、別府-大分間では平成四年度の完成に向けまして、ほぼ全線にわたりまして本線工事が本格化しております。また、日田-湯布院間のうちの日田‐‐玖珠間におきましては、用地買収の進捗にあわせて本線工事が着手されております。残る玖珠-湯布院間でございますが、地元設計協議が完了いたしまして、本年度、用地買収を進めることにいたしておるわけでございまして、地元の市町村長さん初め県議の皆さん方のご努力に大変、深く感謝をいたしておる次第でございます。 また、日田-湯布院間の開通でございますが、日本道路公団では一九九〇年代の中ごろを目標に建設事業を進めておる、このように聞いております。しかし、私といたしましては、平成五年から六年には全線開通できますように関係機関に強く働きかけを行っているわけであります。 まあ、自然体でいきますと一九九〇年代中ごろというと、平成七年ごろがちょうど一九九五年ごろになるわけでございますので、今の第十次道路五カ年計画というのが昭和六十三年から平成四年までで、その平成四年度までの間に別府-大分間が供用開始、北大道路が供用開始ということが十次五計、第十次道路五カ年計画で決まっておるわけで、この平成四年が終わりますと第十一次道路五カ年計画が平成五年から五カ年計画として平成九年までの年度で始まるわけでございます。したがって、私の考えでは、少なくとも第十一次道路五カ年計画の初めの方で完成していただきたいということで強く要望しております。 なかなかこの辺が綱引きでございまして、道路公団としてはもう九州の中の高速道路では大分がもうほとんど中心でございまして、あとは人吉のところが若干残っておる。したがってまあ、全部大分に投入していただきたいと、こう言って頑張っているわけですが、これはまあ、私一人じゃなくて県選出の国会議員の先生やまた県議会の皆さんともどもお願いして、できるだけこの第十一次道路五カ年計画の初めのところで完成するように、また実現ができるように努力をいたしたいと考えております。そのためにはいかにスムースに用地が確保されるかということで、用地さえ確保されればあとは事業ということになりますので、県といたしましても本年度、用地対策事務所の職員を大幅に増員をいたします、また玖珠駐在所を設置いたしまして用地取得を最重点に進めておりますので、今後とも皆様方のご協力をお願い申し上げる次第でございます。 その他のご質問につきましては、担当部長より答弁をいたさせます。 ○後藤国利議長 松浦土木建築部長。 〔松浦土木建築部長登壇〕 ◎松浦たかし土木建築部長 九州横断自動車道の交通量についてお答えをいたします。 湯布院-別府間の一日当たりの交通量は、開通前千数百台の予測に対し、三月から五月の最近三カ月平均では二千七百台となっております。また、日田インターチェンジの乗降車数も八千台程度の予測に対しまして、同じく八千七百台となっております。 次に、大分側の暫定二車線区間の四車線化についてでございますが、九州横断自動車道の建設について、県といたしましては当面、全線の早期供用を図ることが必要と考えておりまして、先ほど知事からもお答えいたしましたように用地買収体制の強化を行い、早期完成に努力しているところでございます。 なお、暫定二車線区間の四車線への拡幅につきましては、全国では二十六道府県の二十八区間一千九百五十九キロメートルにおいて暫定二車線施行が採用されておりますが、県といたしましては、今後の利用交通量等の推移を見ながら一日も早く四車線化ができますよう、国及び日本道路公団に強く要望してまいる所存でございます。 ○後藤国利議長 吉田企画総室長。 〔吉田企画総室長登壇〕 ◎吉田哲企画総室長 新過疎法の関係についてお答えいたします。 新過疎法の施行によりまして過疎地域に該当しなくなりました玖珠町及び大山町の追加指定につきましては、現時点におきましては人口減少率ですとか高齢者比率若年者比率などにつきまして詳細な推計が難しく、現在見通しを申し上げかねますので、ご了承を賜りたいと思います。 なお、両町への財政上の支援につきましては、過疎債の経過措置がございますが、このほか、県独自の施策といたしまして、市町村振興資金のうち低利な過疎地域活性化資金市町村観光道路緊急整備促進事業過疎地域企業立地特別資金貸付事業などについて過疎地域に準じた取り扱いをするほか、優良起債の優先的配分などの措置を講じてまいりたいと考えております。 また、教育施設の整備につきましては、国庫補助採択について重点的に対応するなど、十分配慮してまいりたいと考えております。 次に、大分空港の国際化につきましては、県、市町村、経済界、航空企業、旅行エージェントなどからなります大分空港国際化促進期成会を中心といたしまして、定期便誘致の前提となる国際チャーター便実績づくりに努めてまいったところでございます。この結果、昭和六十二年、六十三年につきましては国際定期便の就航していない空港としては全国最高の実績を上げ、平成元年についても二位の実績を残したところでございます。 今後、チャーター便の実績拡大を図るためにはCIQ体制の整備が重要なポイントとなってまいりますので、既に指定済みの検疫飛行場植物防疫飛行場に加えまして、税関空港、出入国空港及び動物検疫飛行場の指定も受けるよう引き続き国の関係機関への陳情を行うとともに、あわせて、現在、出張によりCIQ業務を行っていただいている大分港のCIQ支署、出張所の増員及び福岡、門司からの応援要員の派遣などによる検査体制の強化につき要望を行っているところでございます。 次に、ドラゴン航空の乗り入れの見通しにつきましては、ご案内のように去る五月の日英航空協議によりまして同社が九州内の新たな一地点に乗り入れる権利を獲得したのを踏まえまして、大分県といたしましても、香港の本社及び東京の日本支社に対し定期便開設を強く要請しているところでございます。 九州内の新たな一地点としては、議員ご指摘のとおり大分空港のほかに長崎、熊本両空港が候補地となっておりまして、現在、同社は各空港の需要調査中でございまして、近く当県にも調査のため、関係者が来県する予定でございます。 香港への旅行者数の単純比較では長崎、熊本両県の方が多いなど、客観情勢は極めて厳しい状況でございますが、さらに努力をしてまいりたいと考えております。 リゾート開発に対する行政指導についてお答えいたします。 県といたしましては、リゾートの開発によりまして美しい自然環境が破壊されたり、乱開発が進むことがないよう十分留意する必要があると考えておりますので、農業振興地域の整備に関する法律、森林法、自然公園法など個別規制法の適正な運用により、秩序ある開発を指導しているところでございます。 別府くじゅうリゾート構想に係る重点整備地区につきましては、昨年七月一日から、国土利用計画法に基づく監視区域に指定いたしまして土地取引届け出面積要件を引き下げ、きめ細かな指導を行っておるところでございます。 また、これらの法令に基づく届け出許可などを要しない開発につきましては、町独自で規制するための条例を九重町が昨年十二月に施行し、玖珠町及び湯布院町ではただいま開会中の町議会に提案するなど対応しているところでございますが、県といたしましては、今後とも地域町と密接な連絡をとりながら、地域の実情に応じた適切な行政指導に努めてまいりたいと考えております。 ○後藤国利議長 池辺農政部長。 〔池辺農政部長登壇〕 ◎池辺藤之農政部長 新農業振興計画市町村計画についてお答えをいたします。 新農業振興計画は、農業を取り巻く環境が国際化、情報化、高齢化などによりまして変動する中で、これからの進むべき方向や具体的な手法を明らかにしたものでありまして、県農政の基本指針、また市町村、農業団体が樹立する諸計画の基準、さらには農業経営者ガイドポストとして策定したものでございます。時代の変化は予測しがたい面もございますが、策定をした直後でもあり、当面は着実な実践を心がけ、中間年であります平成七年において見直しの必要性について検討をいたしたいと考えております。 また、この計画は、農業者を初め農業団体、市町村など関係者の方々の意見を十分にお聞きをし、地域ごとに積み上げを行い策定をしたものでありますので、既に本年度の予算におきましても、計画に盛られた施策を組み入れ、推進をいたしておるところであります。しかし、計画の浸透を早め、より実効性を高めていくためには、各市町村にこの計画に基づいた農業振興計画を策定いただくことが必要でありますので、今年度内の策定をめどに現在、各市町村に対し指導をいたしているところでございます。 次に、新規就農促進対策事業についてであります。 この事業は、新規就農者を広く県内外から募り、企業者マインドを持つ農業者の確保と新規就農者の集落への参加により、農業、農村の活性化を図ろうとするものであります。 事業内容といたしましては、農用地を造成し、五カ年間、新規就農者に無償で貸し付けをした後に売り渡すもので、平成二年度から平成六年度まで毎年四人、合計で二十人の就農者の確保を予定いたしております。この新規就農事業への問い合わせのあった方は百五十三名でありまして、現在、申し込み用紙を発送し、六月十六日から三十日までの期間で受け付けをいたしているところでございます。 次に、中山間地域の農業振興策についてであります。 本県農業の発展には、県土の七〇%強を占める中山間地域の振興が不可欠でございます。このため、これまで実施してまいりました山村等振興対策事業に加え、本年度、国において創設されました中山間地域農村活性化総合整備事業の実施とともに、県単独事業として中山間地域活力創造推進事業、これを創設し、地域の特性に応じた小規模基盤整備、経営近代化施設の導入及び健康増進広場の建設などによりまして、生産条件や定住条件の総合的整備を図ることといたしております。 さらに、今後は国庫補助対象とならない小規模な基盤整備を促進するため、本年度は中山間地域農業振興拠点整備事業により、高所得営農団地の整備に向けた調査を行いまして、農業基盤と関連諸施設の一体的な整備を図り、中山間地域の活性化に資してまいりたいと考えております。 以上であります。 ○後藤国利議長 安東保健環境部長。 〔安東保健環境部長登壇〕 ◎安東保保健環境部長 本県の看護教育と看護婦等の需給見通しについてお答えをいたします。 昭和六十二年四月に出されました厚生省の看護制度検討会の報告では、医学の進歩とともに看護業務が高度化してきていることに伴い、専門的知識や技術に加えて、すぐれた観察力や判断力を持った看護職者の養成を促進することを提言をいたしております。この提言を受けて、国において看護婦等の教育課程の改正の指針が示されましたので、これに沿って本県におきましても平成二年四月から看護婦等養成施設の教育課程が改正されまして、看護教育の一層の充実が図られたところでございます。 今後とも、この検討報告の提言の趣旨を念頭に置きながら、国の具体的な対応に即応してより資質の高い看護職者の養成、確保と社会的地位の向上に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。 また、今後の看護婦等の需給見通しでございますが、高齢化社会の到来に伴いまして、看護が病院等の医療施設だけじゃなく、在宅医療等においても必要とされるとともに、老人保健施設などにおける介護を中心とした新たな需要も生じてきております。昭和六十三年に立てました平成六年までの需給見通しによりますと、平成六年には必要数一万二千人、就業者数一万一千九百人と見込まれまして、百人程度の不足になろうかと思われますので、今後の需給の推移を見守りながら看護婦等の県内就業を呼びかけてまいりたいと考えております。 次に、県立厚生学院の整備についてでありますが、県立厚生学院につきましては、その主たる実習施設である県立病院が既にご案内のとおり平成四年度に南大分地区に移転することになっておりまして、学生の実習の効率性や講師としての県立病院の医師の利便性を考慮いたしますと、新県立病院の隣接地へできるだけ早い時期に移転することが望ましいというぐあいに考えております。 しかしながら、現在の学院の施設が建築後二十年余りしかたっていないこと、また、現在の施設と新病院との距離が他県のそれに比べまして必ずしもかけ離れているとは言えない状況にありますことから、ここ二、三年の間に建設費の国庫補助金の配分を受けることはなかなか厳しいことが予想されるわけでございます。したがいまして、今後の国との折衝の経過を見きわめながら、具体的な移転の時期を固めてまいりたいと考えております。 なお、新築移転の際には、より資質の高い看護職員の養成等社会的なニーズに応じた教育内容の高度化を図るため、施設設備の充実につきましても十分配慮してまいりたいと考えております。 また、移転後の入学定員につきましては、他の養成施設の定員等県内における看護職員の供給体制との関連もございますので、これらの動向を踏まえ、移転後の施設規模の問題とあわせ検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○後藤国利議長 木許晃君。 〔木許議員登壇〕(拍手) ◆木許晃議員 平成二年第二回定例会の開催に当たりまして発言の機会を与えていただき、心から感謝を申し上げる次第であります。 さて、質問にはいる前に、先般平松知事は、大分県の訪ソ団の団長といたしましてソ連ロシア共和国を訪れ、人づくりを原則とします大分県一村一品運動を紹介するとともに、友好と協力を基調とする共同声明の調印などローカル外交推進の上で大きな成果を上げ、このたび帰国されましたことに心から敬意を表しますとともに、その労をねぎらいたいと思います。 さて、通告に従いまして数点にわたり質問をいたしますので、知事並びに関係部長のご答弁をお願いをいたしたいと思います。 まず最初の質問は、自然環境保全対策についてであります。 自然環境保全と言えば、山の緑、清らかな水、美しい空気、そして生活環境と多岐にわたりますけれども、順次ご所見を賜りたいと思います。 今、国際的にも地球温暖化の進行、熱帯雨林の乱伐、フロンガスの規制などが地球規模的環境保全と人類の生存にかかわる問題として大きな課題と論議を呼んでおりますが、日本も経済先進国の一員といたしまして、また外材輸入大国といたしましても、地球規模的環境保全のための一役を担う義務を負わなければならないと考えております。 世界的なある学者の説によりますと、地球温暖化は〇・七度は確実に上昇しており、二十一世紀には一・五度から二・五度は上昇するのではないかと言われております。また、二酸化炭素が累積をされまして、年間二十九億トンも増加をしておるとも言われています。これらは森林の破壊によるものであり、これを補うには四億六千五百万ヘクタールの人工林が必要と試算をされておるのであります。 そこで、今日本の山々を見渡しましたとき、日本の森林は荒廃の一途をたどりつつあるというふうに思います。これは、日本経済の高度成長期におきまして森林の成長を上回る無計画な伐採を強行したからにほかならないのでありまして、大分県の森林も例外ではないと思うのであります。 本県の森林面積は、県の林政課の資料によりますと、四十四万九千四百三十三ヘクタールで、総面積の七一%を占め、その八九%が民有林であります。 しかし今、森林は長引く林業不況と山の守り手であります林業労働者は不足をして、山村は過疎化し、林業木材関連産業は経営が成り立ちがたい状況にあります。そのため、森林や林業の中心となるべき民有林はもとより国有林にあっても、財源も人も確保できず、その役割を果たすこともできない状況となっております。したがいまして私は、今こそ山づくりに人手と金をかけて日本の森林資源を充実し、林業と林産業の振興を図り、次の世代につなぐ緑豊かな森林と地球環境を取り戻すことが重要であろうかと考えております。しかし、森林と林業を活性化し、緑豊かな森林を守り、つくるための国の具体的方策が見えません。 そこで、日本の森林資源を拡充し、林業と林産業の振興を図るために、国産材の需要を拡大をし、自然保護とも調和した豊かな森林をつくり安心して生産活動ができるよう県当局は、みずからはもちろんのこと、国に対しても必要な助成策をとるよう強く働きかけることが求められていると思いますが、いかがお考えでしょうか。林業水産部長に今後の本県の森林を守るための具体的対策を含めお尋ねをいたしたいと思います。 次に、水の問題であります。 水と言えば川でありますが、その河川は、今では大雨が降りましても、それに耐え得るように改修が進められ、一級、二級を問わず、ほとんどの河川は危険箇所が存在しない河川に生まれ変わりつつあります。これは大変喜ばしいことであります。しかし、所によっては三方をコンクリートで張られた河川を見かけますが、これを見たとき、なるほどこうしておけば、大雨が降っても大丈夫だなと、水害に苦しめられました地域の住民の方々は思うでしょう。見かけも大変きれいで、しかも美しい水が流れておれば、なおさら河川改修のありがたさを感じると思うのであります。しかし、これらの河川は死の川となりつつあります。 ことし久しぶりに、アユが川を上っているのを見たという話を聞きましたが、エビやカニはもちろん、メダカやフナも生息していません。川で生息する生き物や植物は、至るところにふちが必要であります。しかし、これらはほとんどが埋められ、川底は滑らかにされているのが実態であります。かつてセキショウモの群生する川でエビを追い、フナを釣り、アユやハエが群れなす川で泳ぎ戯れた少年時代を過ごした私どもにとっては、本当に寂しい限りであります。 また、最近、私の地元であります佐伯市の番匠川で、ただ一カ所のみ残されていましたセキショウモの群生箇所で、しかもアユやハエなど川魚の生育場所となっておりましたところが護岸工事の名のもとに土砂が投入され、これに気づきました市内の自然保護団体が土砂投入中止の要望書を提出するという事態が起こりましたが、これも自然を愛し、自然を大切に思う市民からすれば、本当に耐えられないことだと思うのであります。工事を進める側にももう少しその点の配慮や優しさがあってもよかったのでないかと、悔やまれてならないのであります。 このたびの番匠川の護岸工事は、直接的には県にかかわりはありませんけれども、「やさしい県政」を標榜する平松県政でありますから、今後の県管理の河川工事につきましては、自然保護の立場からも十分なる配慮を強く要望する次第であります。 そこで、土木建築部としましては、生きた川を取り戻す対策と魚のすむ生きた河川を守るための今後の具体的な対策について部長にご所見を賜りたいと思います。 次の問題は、環境保全についてであります。 政府のリゾート法の施行に当たり、今全国的にもリゾート開発が花盛りであります。そのための自然破壊もおびただしいものがありますが、現在大きな課題としてクローズアップしているのは、地域活性化に向けての公共工事や一般建築工事によって排出される産業廃棄物の投棄問題であります。 そこで、四月十四日付で新聞報道されました日出町における、現在建設中の産業廃棄物処理施設の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思います。 問題の施設は、日出町豊岡の山林二千五百十八平米を切り開きまして、ここに八千八百立米の建設廃材を埋めるとのことでございます。私も先般、現地を調査をしてまいりました。今、相当数の町民がこれに反対をしていると聞きました。その反対の理由は、三分の二に上る町民が利用している水道の水源地が予定地からわずかに五百メートルしか離れていないため、処理場から汚水が地下に浸透して水源地に流れ込む可能性があるのではないかとの不安からでありました。町としましては二度にわたり反対の陳情や要望を県にしたにもかかわらず、県が認めたという不信が町民にあるやに聞いております。 また、この施設は、法によれば、業者の届け出が義務づけられているだけで、あとは県の専管事項であり、市町村が意見を差し挟む余地がないため、最低ぎりぎりの線で合意書を結ぶしか方法がなかったと日出町長は議会で答えておりますが、こうなれば、今後の県当局の責任は重大であると考えられますが、ご所見を賜りたいと思います。 もちろん、県の事務当局の方々は中に立ちまして、土地の替え地はないものかを含めまして大変ご苦労されたと聞いております。しかし、これには敬意を表しつつも、相手のありますことでありますから、十分なる地元とのコンセンサスが必要であったのではないか、こういうふうに思うのであります。 いずれにいたしましても、今、大分市、別府市を中心に県下各地で大型工事を含め官民による建設ラッシュを迎えておりますが、今後はさらに建設廃材の量は増加をするものと思われます。人間が物を食べ、汚物を排出するのと同じように、新しい建築が進めば、必ず建設廃材は排出されます。人間生活の中には下水道や浄化槽のような処理施設が施されていますけれども、建設廃材にはこれに該当するような施設がありません。結局は埋め立てをするしか方法がないとするならば、用地取得や処理施設に多額の費用がかかり、さらに地域住民の同意を必要とすることから見れば、すべてを業者任せにすることは余りにも酷と言わざるを得ません。 今こそ県は、この問題を経済発展過程に起こる一つの社会問題ととらえて、長期的展望の上に立ち、県下各地の海岸や山間を対象に産業廃棄物、特にこの建設廃材の処理場や施設を建設する計画を行政が率先をして取り組むべきではないかというふうに考えます。もしこれが実現できれば、建設廃材の不法投棄問題や、前にも述べましたような事態を再び引き起こすことはなくなると思いますが、保健環境部長のご所見を賜りたいと思います。 また、最近、大都市圏から過疎県へ産業廃棄物を船で搬入するという事態が起こっておりますが、お隣の宮崎県でも例のあることでありますので、もし本県でもこのような事態が発生しました場合どのように対処するのか、これについても対応策をお聞きをいたしたいと思います。 以上で、自然環境保全に関する質問を終わりますが、次に、本県の人口減少傾向に対する対応策についてお伺いをいたします。 平成元年、すなわち昨年の十月一日現在の大分県の総人口は百二十四万四千十三人でありますが、財団法人九州経済調査協会が出しました推計人口は、西暦一九九〇年は百二十六万二千五百七十二人、一九九五年は百二十六万八千八百三十一人、西暦二〇〇〇年には百二十七万四千八百九十一人になると、総人口が増加をするということが想定をされています。 もちろんこれは推計でありますが、それなりの算出根拠があり、あくまで幾つかの前提条件を置いてあらかじめ設定した一定の人口変動機構に特定の地域人口のデータを投入したらどのような結果になるかを示す系列で算出されるもので、出生、死亡、移動の三つの要因の将来推移をどのように見通すかにかかっております。したがいまして、前に述べました推計人口は、社会経済的な条件変化等も勘案をされ算出された数字でありますが、既に本年の大分県の総人口は、現実の問題といたしまして推計人口と大きな食い違いを見せ、減少を統けています。 これには幾つかの要因と問題点が考えられます。 そこで私は、過去五年間、すなわち昭和六十年以降平成元年までの大分県の総人口の推移を調べてみました。昭和三十年は百二十七万七千人を記録していますが、それ以降は降下線をたどり、六十年には百二十五万人まで回復しましたが、これを境に県人口は再び減少し始め、昨年十月には百二十四万四千人まで減少しています。年を重ねるにつれ、その格差は大きくなるばかりであります。 年齢別に見ますと、ゼロ歳から九歳までの過去五年間は毎年〇・四%ずつ減少していますが、これは出生率の低下を物語っております。十代はほぼ横ばいの状況でありますが、二十代、三十代は減少の一途をたどっています。しかし逆に、六十五歳以上の高齢者は毎年ふえ続け、平成元年十月現在では総人口の一四・九%を占め、高齢化が加速していることを示しております。 また、特徴的な点は、年代別の県総人口に対する比率は、七十代以上を除きますと二十代が最も低く、一〇・三%となっております。これは進学や就職で県外に流出していることと、一度は踏みとどまっても県内に希望する適当な仕事がないため、やむなく転出するという現実があるからだと分析できます。 また、もう一つの特徴は三十代であります。県総人口に対する比率は一三・七%で、二十代ほどには低くありませんが、ここ数年の減少率は最悪で、毎年〇・七%の減少となっております。これは二十代と同じように、県内では農業を初めとする一次産業では生活ができない、かといって三十代後半ともなれば働く職場すらない、したがって出稼ぎか県外に職を求めるしかない、といった流出が大半と考えられます。 さらにもう一つの特徴は、十五歳未満の子供が二十四万人もおるということであります。県総人口に対し一九・二%のこの子供たちをいかにして県内に定着させるかが今後の大きな課題と言えそうであります。 知事は今年度、県の出先事務所を振興局と名称も変更、同時に機構改革を行うことにより、その機能の拡大を図り、地域の活性化と過疎対策に力を入れていることは痛いほど私どもの心にも伝わってきますが、何はともあれ、人口の流出は防止をしなければならないと考えています。 そのためには、魅力ある一村一品運動を含む農林漁業の振興、さらにグレードの高い企業の誘致、文化の薫り高い都市づくり、都市規格に近い生活環境の整備や大学の誘致など、都市志向の若者や働き盛りの労働力を県外に流出させないための施策を積極的に取り組むことが必要かと考えますが、知事の長期的展望に立った対策はどのようにお考えになっておられるか、ご所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、教育長にお尋ねをいたします。 前にも述べましたように、本県の総人口は昭和六十年以降減少の一途をたどっておりますが、これは労働力の流出と出生率の低下が主な要因と考えられます。同時に、当然ながら児童数の減少も現実の問題としまして起こってまいります。昨年の五月一日現在で中学三年生は二万人近くおりましたが、小学校一年生は一万五千四百人と減少し、さらにゼロ歳児は一万二千三百と大きく減少しています。 今、教育現場では四十人学級の実現もほぼ来年度で解消されると聞いておりますが、これを機会に三十五人学級の実現を図る考えはないのか、また長期的な立場からどのようにお考えになっておられるか、ご所見をお伺いいたしたいと思います。 さて、最後の質問は教育問題についてでありますが、二、三お尋ねいたしたいと思います。 ことし県下には、至るところに高校進学対策協議会という団体が結成をされております。これは競争しなくても全員が希望する高校へ、また地元の高校で豊かな高校教育を、これを目指し、子供を持つ親が中心となってつくっている団体でありますが、すべての子供に高校教育を目指す父母の願いとは裏腹に、受験戦争は一層厳しさを増してきているのではないでしょうか。受験準備偏重の教育体制は学校教育を大きくゆがめ、登校拒否や問題行動を起こす子供の数はますます増加の傾向にあります。 また、昨年の県下高校中退者は四百名を超したと聞いておりますが、この中には、高校にはいったものの、改めて自分に向いた進路を選ぼうという子供がかなりの数、含まれていると聞いております。これは、受験戦争が激しい中で希望しない高校への進学があることが原因とも考えられます。 そこで私は、職業系高校の卒業生の過去三カ年における進路状況を調査してみました。私の手元にあります資料では的確な数字を出すにはいささかお粗末なものでありますが、少なくとも農業系高校については問題があると判断できるのであります。工業高校、商業高校、水産高校を卒業しました生徒は、おおむね三年間の教育が生かされる職場に就職していますが、農業系高校の卒業生は全く勝手が違うのであります。 平成元年度の農業高校の卒業生は九百六十八名で、このうち進学者は二百十名で、就職者は七百四十四名であります。平成二年度の卒業生は九百十九名で、進学者百八十三名、就職者は七百十二名でありますが、いずれも三年間に修得しました教育が生かされるだろうと思われる職場に就職したか、もしくは農業を後継をしている卒業生はわずかに三%弱、全然関係のない職場に就職をした卒業生がほとんどであります。これは大半が農業修得が目的でなく入学したか、または農業教育を生かす職場がなかったかのいずれかでありましょう。このことは、裏返してみれば、農業をやる気のない若者がむだな三年間を過ごしたと言っても過言ではないと思うのであります。 しかし、最近、農業高校を卒業しました若者が、一たんは都市に就職をしましたが、脱サラでUターンし、花卉生産や野菜栽培を始めたというケースも少なからずあります。こういう人にとっては、農業高校時代の三年間は決してむだではなく、むしろ自分の人生を変えた三年間であったと思うのであります。 そこで私は、少なくとも子供には子供の希望する高校に入学させてやりたいというのが親の願いであり、同時に教師の願いでもあると考えるのでありますが、実態は前にも述べましたとおりであります。 また、現在の県総人口の減少推移から見れば、児童数もかなり減少し、あるいは職業高校の見直しを迫られる時期も遠からずやってくることも考えられますが、知事は平成元年を農業元年と位置づけ、県農業の再生に異常な執念を燃やしております今、農業志向の若者の育成は必要欠くべからざることであり、これなくては農業の再生もあり得ないことだと思います。そのためには夢の持てる農業、生活のできる農業こそが急務であると考えます。これが実現できました暁には必ず若者が農業に回帰するでしょうし、農業高校が本当に生きた農業修得の場となるだろうと確信をするものであります。 さらにもう一つは、当面の問題としまして、農業高校の教科そのものにも魅力を持たせることも大切ではないかと思います。 例えば、佐伯鶴岡高校では、先進農業技術といたしましてバイオ技術を指導しております。このバイオ技術によりましてカスミソウやイチゴのウイルスフリー苗を大量生産をし、地域の農家に配布をするということもやっているようで、このバイオ技術導入は生徒にとっては最も新しく、珍しいことでもあるのか、大変な関心が寄せられていると聞いており、魅力ある学校づくりのよい例ではないかと思われます。 魅力ある農業、魅力ある教育指導こそが魅力ある農業高校を生み出し、進んで入学を希望するような農業高校たり得る唯一のかぎではないかと考える次第であります。現在バイオ技術の導入がされていない農業高校があれば、ぜひ導入を検討してみることも価値あるものと考えます。 また、既にバイオ技術の導入がされている高校も設備はまだ十分なものであるとは思えませんので、高額な経費が必要とは存じますが、バイオ技術の教育成果をさらに向上させる意味からも設備の充実を図るよう、特にご検討をお願いする次第であります。 そこで、教育長に農業高校の現状をどのように受けとめておられるのか、また私の指摘しました点についてどのようにお考えになっておられるか、ご所見をお伺いし、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○後藤国利議長 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 木許議員の私に対するご質問にお答え申し上げます。 人口減少傾向に対する対応策であります。 議員ご指摘のように、本県人口が昭和六十年を境にいたしまして再び減少の兆しを見せておることにつきましては、私も大変憂慮いたしております。特に近年の経済の好景気に支えられまして人、物、情報が東京圏ヘ一局集中ということでございまして、これはまあ全国的な傾向でございます。九州の中でも恐らく大分、宮崎、鹿児島、長崎、同じような減少傾向が六十年国調に比べてあるんではないかと、このように思っております。この点について積極的に何とかそれぞれの地域で人口をふやしていきたい、これが私の過疎対策を最大の眼目にしたゆえんでもございます。 そこで、過疎・地域振興対策局を設置、また県事務所を地方振興局に改組、それぞれの地域で人が集まってくるように、またそこに人がとどまるようにきめ細かい重点的な予算措置をいたしたわけでございます。 また、21大分県長期総合計画の策定におきましても、地域構築の時代ということで、高速交通体系の整備によってそれがストロー現象で大分から人間が流出していかないように、逆ストローで大分県に人間が呼び込めるようにそれぞれの地域に魅力ある磁場をつくろう、まあ磁石の場を、磁場をつくろうということで、この四月に施行されました新過疎法に基づきまして現在、県過疎地域活性化計画、市町村過疎地域活性化計画を策定中でございます。いろんなあらゆる種類の施策を動員して、それぞれの地域に人が定住するようにいたすわけでございます。 特に私が考えておるのは、まず第一は産業、これは何も工業だけじゃなくて、一次、二次、三次を含めた産業の振興による就業機会の確保ということでございまして、いかに若年層の定着を図っていくか。議員ご指摘のように新規学卒者のまず県内就職、これも最近だんだんと上がってまいりまして、ことしは六三%が県内就職、ただまあこれは高等学校でございます。大学--大分大学、また文理大学なんかになると県外の就職がまだ高いということでございます。こういったところの学生の卒業者の県内就職、そのために私も「職欲モリモリ集会」ということで高校卒の皆さんに大分県で就職するように呼びかけも直接いたしておりますし、だんだんそういう効果も出ております。 また、農業高校なども、おっしゃるようにこれからはさらに新しい魅力づくりで抜本的に考えてもらうように今教育委員会にも私からもお願いし、設備等の更新もお願いしていることで、全く同意見でございます。 また、Uターンの施策ということで大分の東京事務所、大阪事務所においてもUターンを呼びかけ、これもかなりまだ力が--実効もぼつぼつ上がっているところでございます。 また、テクノポリスによる企業立地、頭脳立地構想、こういったようなことでこれからは経済のソフト化に対応して新しくソフトエンジニアリングの若者を大分県に誘致しよう、また杵築にもソフト村、ソフトプロバンスをつくって若い研究者も大分県に持ってこようということで、単なる物をつくる企業誘致のみならず、そういったところの誘致も努力しておりますし、今年度から新施策で過疎地域の企業誘致については格段の助成措置も講じております。 また、農業、商店街活性化、リゾート整備等々、まあいろんな面でそういうリゾートも地域へ人が集まることになりますので、そういった企業誘致がなかなか進まぬときにはリゾートということで蒲江にマリンカルチャーセンター、野津原の平成森林公園、また宇佐の厚生年金の新しいレクリエーションセンター、いろいろと手をかえ品をかえ、いろんな地域に人が集まる施策を講じてきております。 第二番目は、快適で住みやすい生活環境をつくっていきたい。議員から河川の浄化の問題もございましたが、やはりそれぞれの地域が住みやすく環境整備をするということで、特に過疎地域の人のためには過疎の高齢者生活福祉センター、こういった地域福祉、地域医療の充実、また過疎地域アメニティータウン構想、また集落の排水施設、上下水道の整備、またマリンカルチャーセンターやレクリエーションゾーンの整備ということで、都市のみならず過疎地域の環境整備というものもこれから進めていきたいと思っております。 第三番目は、自律的な人口増加、どうしてもこれは赤ちゃんを産んでもらわなきゃいけません。 私の手元にある統計で見ますと、大分県と宮崎県を比べますと、昭和六十年の国調と昨年の十月一日の人口動態調査、若干ベースは違いますが、大分県は六千二百人減っておりますが、宮崎は四百五人の減少であります。 どこで原因が起こるかというと社会減、いわゆるこの若者が県外からはいってくる、若者が県外に流出するこの社会減は大分県の方が少ない、宮崎県は二万一千人減っておりまして、大分県は一万九千人でございますから、社会減では大分県の方が少ないんですが、自然減、いわゆる新しく生まれる人と死ぬ差でいきますと、宮崎県は差し引き二万一千人ふえていますが、大分県は一万三千人しかふえてない。これは赤ちゃんを産む力が弱い。これは女性のみならず男性の問題もあるかもしれませんが、とにかくこの出生率が大分県の方が宮崎県よりも劣っておる。 それから、死亡が非常に高いということで、まあ宮崎県も高齢化社会であろうと思いますが、大分県の死亡者の方が宮崎県よりも高いと、出生率は宮崎県の方が高い。この差が結局二万一千人と一万三千人で八千人、大分県の方が減っておるわけですから、宮崎県と同じような自然増をしとれば大分県はまあ二千人ぐらいふえておると、こういうことになりますので、いろいろとこの点で、赤ちゃんを産めばいろいろお祝い金を上げる、それに補助するというような対策にしましたが、これだけがすべてのものと思いません。 まあ、赤ちゃんが生まれてすぐ亡くならないような周産期死亡率を低下するための施策等々いろいろとこの自然増対策にも力を入れ、また社会減対策にも力を入れて何とかその、ひとつ交通体系も整備をする、また大分県の高等学校の学力が落ちているために、有名校に行くのがすべてじゃありませんが、有名校に行きたいところの父兄は皆、県外に高等学校を選んで行くというようなことも一つの原因でございますから、教育委員会の方でも学力水準の向上というような努力もいたしておりますし、また県立芸術短期大学を今度新しく学科もふやすのも、まあ高等学校を卒業した若い子女が県外の短大にたくさん行ってますので、それを引きとめるための教育機関をつくる、大学を誘致するとまあこういったこと、また地域に根差した一村一文化の振興ということで、あらゆる手段で県内に魅力ある磁場をつくって人口増を目指していきたいと、このように考えている次第でございます。 その他の質問につきましては、担当部長からお答えいたさせます。
    後藤国利議長 小野林業水産部長。 〔小野林業水産部長登壇〕 ◎小野和秀林業水産部長 森林資源の充実と林産業の振興についてお答え申し上げます。 議員ご指摘のように、森林資源の充実を図りながら林業、林産業の振興に取り組まなければならないことにつきましては、私どもも十分認識いたしておるところでございます。県といたしましては、これまでも国の補助事業の活用や県単独事業によりまして林道等の整備や除間伐など造林事業を推進いたしまして、森林資源の整備拡充に努めてまいったところでございますけども、蓄積量も確実に増加いたしております。 一方、林業、林産業の健全な発展を推進してまいりますために、木材需要拡大推進事業や大分県産材銘柄づくり推進事業を実施いたしまして県産材の需要拡大を図りますとともに、森林組合の体質強化を図りながら林業担い手育成強化対策事業や、本年度新たに導入いたしました林業労働者就労安定対策パイロット事業などによりまして労働力の確保に努めているところでございます。 さらに、森林の保健、文化、教育的な利用の観点から平成森林公園の整備を初め生活環境保全林の整備を行うなど、森林の総合的利用も図ってまいっております。 今後とも、現在策定中の林業振興計画を指針といたしまして、国の助成の拡充も要請いたしながら、林業、林産業の健全な発展を図りますとともに、森林を保全し、その諸機能の充実を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○後藤国利議長 松浦土木建築部長。 〔松浦土木建築部長登壇〕 ◎松浦たかし土木建築部長 河川の自然環境の保全についてお答えをいたします。 河川改修につきましては、洪水等から県民の生命、財産を守ることを第一の目的として整備を行ってきているところでございますが、近年、県民の意識が経済的豊かさの追求から精神的豊かさを求める方向に変化しており、河川改修につきましても豊かな自然との調和が要請されているところであります。 県におきましても、ふるさとの川モデル事業やラブリバー事業あるいは県単独事業のアメニティーリバー整備事業等を積極的に活用し、水生生物の生息できる魚巣ブロックの利用やふちの形成または魚道の設置、自然石の護岸などに配慮した河川改修に努めているところでございます。今後とも引き続き、河川の自然環境の保全に努め、生きた川づくりに向けて努力をしてまいりたいと考えております。 ○後藤国利議長 安東保健環境部長。 〔安東保健環境部長登壇〕 ◎安東保保健環境部長 日出町に建設中の産業廃棄物処分場についてお答えをいたします。 日出町の産業廃棄物処分場につきましては、有害物質が含まれないコンクリート片などの建設廃材を埋め立て処分する施設として建設しようとするものでありますが、処理業者に対しましては、昨年の九月以来、日出町及び周辺住民に建設計画や埋め立て廃棄物等の内容を事前に十分説明させるなど、地元対応について行政指導を行ってきたところであります。 特に埋め立て処分場と水源との関係につきましては、ボーリング調査を実施させておりますけれども、その状況を見ますと、地層の状況、これが粘土質のようでございますが、そういったことから、水源への浸出水の可能性はまずないであろうという調査結果が得られております。 また、日出町と処理業者は、水道法に定める全項目水質検査及び日出町による立入検査等を盛り込んだ合意書を締結しておりまして、環境汚染の未然防止に十分配慮することといたしたところであります。 県といたしましても、廃棄物を適正に処理する上から、埋め立て処分場の建設は社会的にも必要な施設であると考えておりまして、今回の場合も廃棄物の処理及び清掃に関する法律による届け出が適法になされておりますので、これを全く中止させてしまうということはなかなか難しいわけであります。今後とも、日出町との連携を密にしながら、安全性の確保に十分配慮した適正処理について監視指導を強力に行ってまいりたいと考えております。 次に、建設廃材などの産業廃棄物処理施設の整備についてでありますが、本県の産業廃棄物埋め立て処分場の残存容量につきましては、現在、全県下で約三百万立方メートルでありますが、排出事業者や産業廃棄物処理業者が保有している埋め立て処分場予定地がございますので、逐次これらが供用開始されますと、おおむね四、五年は埋め立て処分の受け入れが可能であると考えております。 県といたしましても、中長期的な展望に立って安定的な処理に対応できる大規模な埋め立て処分場、特に最近のビルの建てかえに伴い増大しております建設廃棄物の埋め立て処分場を整備することの必要性につきましては十分認識をいたしておるところであります。そのため、昨年十月、学識経験者、業界関係者と県、市町村で構成する研究会を設置をいたしておりまして、広域的な処分場の整備について調査研究を進めているところでありまして、研究会の意見も十分聞きながら広域処分場の基本構想をまとめ、具体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、大都市圏からの産業廃棄物の持ち込みがあった場合の対応策についてでございますが、ご案内のように産業廃棄物は、都道府県の区域を超えて広域的に移動して処理されている事例がございますが、他県からの産業廃棄物が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に沿って適法に搬入され、処理されるのであれば、これを拒否することは法的には難しいわけでございます。 しかしながら、本県におきましても、年々処理する産業廃棄物が増加する中で、近い将来、県内で発生する産業廃棄物でさえその処分場の確保が懸念される状況にありますことから、仮に大都市圈から産業廃棄物が持ち込まれるというような場合には、事前協議制の導入を検討いたしますとともに、廃棄物の内容、処理量、処理の期間等によっては関係業者に対し県内への持ち込みを差し控えるよう要請するなど、行政指導面でのきめ細かい対応を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○後藤国利議長 宮本教育長。 〔宮本教育長登壇〕 ◎宮本高志教育長 まず、三十五人学級の実施についてお答えをいたします。 公立小中学校の普通学級の編制につきましては、従来から国の基準に基づいて行っているところであります。 ご案内のとおり、四十人学級は平成三年度で完成する予定となっておりますが、その実現に向け、引き続き国に強く要望しているところでございます。 ご質問の三十五人学級の編制につきましては、国が現在その実施の方針を示しておりませんので、今後国の動向を見守ってまいりたいと考えております。 次に、農業教育についてお答えいたします。 本県の農業高校は、これまで直接農業生産に携わる後継者の養成を初め、農業に関連する各種の産業や行政などの分野に多くの有能な人材を送り出し、地域社会の発展に貢献してまいりました。しかしながら、議員ご指摘のとおり、農業高校への進学状況や卒業後の進路状況に見られますように、農業教育を取り巻く環境は極めて厳しいものがあります。 県教育委員会といたしましては、これらの状況を踏まえ、社会の進展や時代の要請に応じた農業学科の構成を初め、農業技術の進歩に対応したバイオ技術や情報処理教育を積極的に導入するなど、それぞれの地域に根差した魅力ある農業教育の実現に努めているところでございます。 今後は、県の策定した新農業振興計画に基づく農業の振興や産業構造の変化、さらには就業状況等を踏まえながら、教育内容や学科構成のあり方等につきまして全県的な視野に立った検討を行ってまいる所存でありますので、ご了承賜りたいと存じます。 以上でございます。 ○後藤国利議長 暫時休憩いたします。     午後零時九分 休憩     -----------------------------     午後二時五分 再開 ○壁村史郎副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 甲斐信一君。 〔甲斐議員登壇〕(拍手) ◆甲斐信一議員 私は、当面する県政の問題について知事及び関係部長に質問をいたします。 質問の第一は、農業後継者、すなわち担い手づくりについてであります。 私は、今年度久しぶりに文教委員会に所属をしまして、県内の各高等学校、それから教育事務所等々を回りました。そして、農業高校の先生方がどれくらい営農につく生徒の就職について関心を持ち、努力をしておるかということなどを調べてきました。 農業高校における本年三月の卒業生中、いわゆる農業後継者として育成する学科の卒業生、これは五百三十名ありますが、自営農業者として就職しておる者はわずかに--何名と思いますか、九名です。そして、去年はたったの三名です。で、本気で農業後継者を育てる農業高校の教育をやっておるのかということについていささか唖然といたしました。 また、実践大学では、平成元年の卒業生が五十名のうちに自営農家となった者が十七名、本年三月では卒業生四十二名のうちに、これはわずかに九名です。ちなみに、この農業実践大学には年間約四億円の巨費を投じまして、定員も八十名あるのに、ことしの入学生は三十六名しかない。こういうようなことで、農業教育機関に大きな期待をかけながら就農者はまことにりょうりょうたるものであります。 こうした実情を見て私が強く感じましたのは、知事が農業の振興を県政最大の課題としてことしは特別、施設野菜、肉用牛を中心に農業予算を大きく編成をされましたが、問題は、こうした壮大なプロジェクトをだれが担うてやるのかという危惧であります。 就農人口の高齢化にはここでは触れませんが、とにかく人づくりを第一に強調されておる知事の指導にもかかわらず、さきに申し上げたような深刻な様相が今後も統くとすれば、一村一品で知事は随分有名をはせましたが、そのビジョンも「九仞の功を一簣に虧く」というようなことになりゃせぬかと、まことに惨たんたる本県農業の後継者の実態をもう、嘆かざるを得ないのであります。この点について知事はどのように認識をされておられるか、お尋ねをしたい。 こうした状態の中で県農政が脱サラやUターンを対象にしまして専業農家を募集したのには、まあグッドアイデアと言えるような気もいたしますけども、まあ悪く言えば窮余の一策ではなかったかと、こういうことも言えるし、条件のせいも応募者にあったのかもしれません。枠が四人しかないのに、応募者が百五十三人から問い合わせがあった。 なぜ、このように多くの人々が農業に関心を寄してきたんじゃろうかと、こういうことを私なりに考えてみますると、今、一般企業と比べて農業のよさが皆さんの中にだんだんとわかり始めて、機会があれば農業をやってみろうかというような人が出てきたんじゃなかろうかと。特に大分県の農業に目が向いたのは、一村一品の元祖平松知事さんにやっぱり引かれて、私は応募があった人も大部分あると思うのであります。したがって、問い合わせのあった人には、四人しか枠がないなんて、そげなこんめえこと言わぬで、この事業に参加してもらうように、そして就農した以上は、ご本人も相当自覚をするはずだし、経験者、そして県農政の指導いかんによっては必ず自営農家になるであろうと私は心から期待をしておるのでございます。 大方の皆さんもご承知のように、私もこの年になって通信制の大学にはいりましたが、最初ある程度の覚悟はしましたが、やっぱ苦労が多ございます。けれども、やってよかったと今思っておる。これは農業をやる人にわしは共通するところがありゃせぬかと、こういうふうに思っておるんです。 まあしかし、世の中いろいろ見方があるもんで、県がこういうことをやったがということをこの付近の篤農家に聞いてみたら、何ちゅうことするんじゃろうか、そげェ外まで募集せぬだってん、県内の中に土地や資金があれば農業をやりたいのにと、こういうふうに言っておる人もありますから、農政部長はよくここらの意見を気にとめちょいていただきたい、こういうふうに思います。 ところで皆さん、案外、農家や農業関係者が「農業がつまらぬ」とか言っておるのではなかろうかという気がするんであります。北海道でも最近、約百人が新規に農業を始めたと聞いておりますが、西南暖地としての特色を生かせば、わしは九州の大分ん方がよっぽどいいと、こういうふうに思っておるんであります。こういうことから、嫌がる農家の息子より脱サラあたりが農業に定着するかもしれぬと、こういった意見が出てくると思います。 そこで、この専業農家の募集について、定数にこだわらず、真剣な希望者については積極的に受け入れてはどうか。そして、この際、農業をやるなら一村一品の元祖大分県でと、こういうような明るい何か魅力のあるものをつくり立てて大キャンペーンを張る必要があると思うのでありますが、対応を農政部長に承ります。 さきに述べましたように、農業高校の進路指導の先生や学校では、農業よりも他産業からの求人に容易に応じている傾向があるんです。もう他産業は求人のために真剣ですから、そこらが農業がまだまだ、私に言わすれば努力が足らぬ。そして、家庭におきましても親が「農業はつまらぬ。おまえは会社で働け」、というようなことを言うもんじゃから、いかぬと私は思っておるんであります。要は、農業高校の就職の世話をする先生方が、生徒を受け持った先生がどれだけ熱心にやるかということによって私はかなり生徒の進路が決まっていくと、こう思っています。 私は、若いころ、本当は学校の先生になりたかったんです。師範学校に行こうと思うて頑張ったんですが、事情があって鉄道にはいりました。まあしかし、たまたま三年間、鉄道のあの機関車乗りを目標にやってくる、はいってきた若いもんの指導係を務めまして、当時は、二分の一プラス三分の一は何ぼかと言うと、それは五分の二ですというような、通分もしきらぬような子供たちが多かったんです。それを私が三年間、自分でテキストをつくって一生懸命鍛うて、おまえはこんげ行け、おまえはこんげ行け、おまえは駅長になれちゅうようなことを言うたら、おおむね、大体そういうふうになっていきました経験の上に立って、農業高校の先生やら実践大学の先生がまちっと真剣になりゃ、さっき言うた三名とか九名とか、あげなこと、もう本当何しちょんのか、ということを私は言いとうなるわけでございます。 農業が、しかしいい意味のさま変わりをしている実績はこの付近でも見受けられるのであります。農業で一年に一千八百万、あるいは二、三日前も私行ってみましたが、二億三千万、年間に上げておるところもあるし、サラリーマンよりよっぽど収入がいい。もちろん、そこの子供は農業を引き継いでいきますけども、そして団地に住んでおる奥さん方をパートで加勢してもろうて、本人はやっぱりオランダと言って外国行って、どんどんどんどん研修をしておる。ここでは全く、農業はつまらぬじゃんということはノーであります、ないんであります。私は、こうしたさま変わりした農業の実態を農業高校の先生やら、何とかしてやろうとする人によおく見てもろうて、そして農業に対するイメージを明るくチェンジするということが今肝要なことではなかろうか。 考えてみますのに、日本が景気がわりい景気がわりいちゅうとどんどんどんどん冷え込んでいくが、ありゃまあ政府が公共投資をしましたけども、景気がいい景気がいいとなるとばあっとよくなって、今日のように人手不足のようなことになる。これを例にしておるわけでございます。 そして、よくやっておるところもあるんであります。農業高校に行ってみますと、あんた方、就農生徒の努力が足らぬじゃねえかと校長にやかましゅう言うとですね、いえ、実践大学にことし九名入学をさせました、そのうち三名は、大学卒業したら必ず農業をやるという条件をつけてありますと、こうやって答えてくれる、ありがたいですね。 それから、実践大学に聞いてみますと、県下のある町長さんはですね、実践大学にやってきて自分のところの出身の学生に、おまえしっかり勉強しちくれや、おまえがつくったやつはおれがもう全部売っちゃるから、帰って必ず農業をせよや、と言うて激励をしておるんです。 こういうふうに関係者がみんなで心にかけてやっていけば、その農業について励みが出てくると私は思っております。したがって、実践大学だけはせめて卒業生の一〇〇%が自営農家として就農するように、その可能性を追求していく必要がありますが、できますか、農政部長に伺います。 それから、農業高校の卒業生について、父親がまだ四十七、八、五十ぐらいで若くてですね、まあおれ方、今おまえが手が要らぬから、いっときおまえは大阪か東京行って働いてこい。しかし、五年たったら必ず帰って農業を継いでくれや、と言うところもあるようでございます。まあ、このときに、ジョークですが、五年たってよその彼女を嫁にして連れて帰ってくるりゃ大分県はもうける、というようなことになるわけでございます。 やがて日本も、通勤ラッシュだけでくたびれるような都会の生活に嫌気が差して、自然と緑がいっぱいの農業を求めてくる人々が必ずふえてくるだろうと私は期待をしております。 県の振興局や農業改良普及所の職員が農業高校に対して、卒業生の就職について農家に働いてくれるよう働きかけておりますけども、私の知る限りでは、相手の心を動かすところまでいかずに、強烈にそれが生徒に伝わっていない状態だと思っています。したがってまあ、私がさっき私の例を、借越ですが話したような次第でございます。 農業高校卒業生の進路指導に当たっている先生方の一層の努力をお願いしたいのですが、それにはどうすればよいと思うておるか、農業高校卒業生の進路指導が今のままでよいと思っているのか、教育長に伺います。 大分県は、今回策定されました長期総合計画の中で掲げておるように最低一万戸の中核農家を確保しなければなりませんが、これを確保、維持することは大事業であります。将来は、こりゃもう三十年周期をずっと三百人ぐらい毎年こう、就農させていかなならぬのですけども、当面は私は百名ぐらいでいいと思っています。ところが、五年間のその就農の実績は今減少傾向でありまして、昭和六十三年度が四十四名、平成元年が三十八名であります。 それで私は、次のことを知事に申し上げて、対応を承りたいんですが、農業改良普及所に農業後継者確保のための専任職員を配置して、農業委員会を揺さぶったり農業高校を励ましたりするようなことはできないか。 それから、二は、若年の新規就農者に対して、現在、農政で制度としてあるものも含めて、もっと手厚く遇するような措置を講ずるということはできないか。このことについて、大企業は新規就職者を二、三年間、まあ極端に言やァ、遊ばしても給料をやって将来の会社の人材を育てておりますが、やっぱ本来なら、農業団体がしっかりしておれば、その農業団体が国や県の援助を受けながら、大企業がやっちょるように二、三年は農業に従事さして月十万ぐれェ給料を払うてやる、そうすれば私は就農者もふえてくるだろうと思うけども、まあそういうものについてもこれから、企業農家と銘打っておる以上は頭の中に入れて県農政はやっぱ考えていかないかぬ。 それから、そういう資金を必要とする--景気変動によって変わっちゃ悪うございますから、後継者基金というようなものを創設をする、こういうことをやるべきではないか。そのようにしてでも、何としてでも中核農家一万戸は絶対に確保する、こういうことをしなければならぬと思うのでありますが、その対策について知事のご所見を承りたいんであります。 以上、後継者づくりについてるる述べましたが、私は今回の質問書の作成に当たりまして、知事さん、あなたの部下である農政部の職員を中心に関係の人々と十分ヒアリングをしてみました。四月の人事異動の後か、そう言やァ、ちょっと、先にやめた部長には悪いけど、部長が若返ったんかわかりませんが、何となくやる気がずっと職員の中に出ておるのを感じました。これからは大事な人づくりに県庁からまず始めて--県庁職員の給料はわしはあんまり高ェとは思わんのですよ。しかし、よく頑張っています。それで、一層あなたは部下を叱咤激励され、そしてまた、かわいがってやってもください。これを要望しておきます。 質問の第二は、長期計画中の特に私が去年の十二月の議会で強く指摘しました野菜の四百億円プロジェクトでありますが、これは何としてでも達成してもらわないかぬ。そのためには、野菜振興協議会をつくって、もちろんこの構成は県、市町村、農業団体、生産者代表ということにしてもらいたいと思うんですが、ある程度の権限を持たせて、そうして実効の上がるようにしてもらいたい。農政部長に対応を承りたいのであります。 質問の第三は、県立芸術短期大学のことなんですけども、県は県内女子の要望にこたえるためにこの女子短大の定員をふやそうということで施設を拡大しようなどしておりますけども、大事なことは、入学をして卒業生の県内への就職、すなわち出口のことは大丈夫なのかと、こういうことがまあ気になるわけであります。このことを心がけて、授業学科の設定、施設の態様、企業へのアンケートなど大胆にやらなならぬところはやって、気を使うところはきめ細かく気を使っていく必要がありますが、対策をどう考えておるか、総務部長に尋ねます。 質問の第四は、中小企業の近代化資金の貸付金の償還金についてでありますが、この特別会計の資金につきましては昭和五十九年度の決算のときから、会計監査から毎年同じことを指摘をされてきておる。とりわけ四年間は毎年約十七億数千万円の焦げついたと思われる未収金があって、回収への努力はされておると思うんでありますが、今議会には、同じように監査委員から指摘をされていた県営住宅の悪質入居者の法的措置をとる議題が出ておりますから、やっぱり同じ指摘をされたこの中小企業の回収が目を引くわけなんです。私はまあ、この点、会計監査委員の立場もあるので、同じことを指摘されぬように担当部門としてどういうふうな方策をとっておるのか、商工労働観光部長に承りたい。 最後に、質問の五は、卸売業の振興対策についてであります。 本県商業の六十三年度における年間販売総額を全国台で比較をしてみますと、そのシェアは低下をしておりまして、また、九州内の各県と比較をしてみましても、福岡、熊本、鹿児島、長崎には到底及びませんが、佐賀、仲縄よりは上位であります。問題は、県内人口が本県より約六万八千人少ない宮崎よりも商業の販売額が大分は少ないということなんです。特に中身を分析してみますと、小売業はいいんですが、卸売業が千五百億円、宮崎に負けておる。 県は総合計画において、本年二月当時の概案にはなかったこの点に新しく卸売業の果たすべき役割及びこれに必要とされる流通拠点施設の整備等について検討すると修正をされていることにつきましては、まあ議会側の意見をよく受けとめて、ここに追加をされたなというふうに評価をしておるところであります。 しかし、問題は、高速道が着々と整備されつつありますし、一方、大分市の大道及び五号地の一部にある卸売団地では、既に今日の商業団地としての体をなしておりません。相当、団地の対応がおくれておりますので、本県における物流センターの整備を急がなならぬ。私は、大分だけでなく、県境の中津、日田等にもこのセンターを設置して卸売業の発展を図らねばならないと、こういうふうに強く考えておるのでありますが、この対応を商工労働観光部長から承りたいのであります。 時間があと四分ありますので、ちょっとこのことを話したいんですが、この前、テレビを私、たまたま朝、朝飯が済んで見ておりましたら、長崎県の県立の女子農業学園ちゅうのが出ておりまして、定員がたしか三十名ぐらいであったと思うんです。そいで、一、二年と研修科の課程がありまして、中学校を卒業した女子だけをそこに入園させておるんであります。そして、そこに学んでおる子供にインタビューを放送局の人がしておりました。 あんたはどうしてこの学園に入園したかと聞いてみましたら、その子が、お母さんがこの学園の卒業生で、母から勧められましたと。ほんなら、あなたは卒業して農業をずっとやるんですかと聞いてみましたら、いえ、まあ今んところはやる気がないんですけどと、こういうふうに答えておりました。しかし、朝六時ごろからぴしっと起きて牛の搾乳からもう、いろいろ朝の行事をやって朝食をとり、そして農業のことを打ち込んでやっておりますから、ああいうふうにインタビューした子も必ず私は、農業の嫁さんになるだろうということをテレビを見ながら期待したのであります。 そのときに、大分県が農業の嫁さんがない、不足をする、来手についても心配するというような状態でありますので、長崎県立のその女子学園の状態がうらやましいもあったし、まあ何とか大分県にもああいう状態ができられんのかなと、こういうことで期待を込めながらそのテレビを見ておったような次第でございます。これを何かの参考にされて、そして大分県農業、特に知事に何遍も言いましたけども、後継者づくりについて格段の努力をお願いをしたいのでございます。 知事さんは毎朝必ず、ジョギングをずっと官舎から舞鶴橋畔にかけてやられておるということでございますので、私も先ほど申し上げましたようなことをしておりますから、健康だけは大事にしておかにゃならぬと思うて毎日、あなたのまねをして、私は寝る前、もう三十分は必ず歩いて、やっております。そしてまた、最近は飲む方もちっと控えまして、生活が非常にいいリズムに今、乗っております。一遍下痢をしますと三、四日、回復するのにこたうんです。おかげで、頭もまあ使い、体もそういうふうに頑張っていますので、この三年間で八キロやせまして、そして当初勉強始めたときに血圧が上がりかけちょったのが、今では何遍かかりつけのお医者に行っても、正常な血圧になりました。 まあ、ここにはあんまり太っちょる人はおりませんが、私は最近、肥えちょる人を見ると--あッ、あっこに三浦さんがおるが(笑声)、あのォ、ちいっと頭の使い方が足らぬなというような感じがするんであります。まあ先生方、ひとつ脳の方も使いまして、皆さんスリムになってください。 余談をいろいろ申し上げましたが、時間いっぱいとなりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○壁村史郎副議長 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 甲斐議員の私に対するご質問にお答え申し上げます。 第一番目は、農業後継者の育成、確保でございます。 全く議員ご指摘のとおりでございまして、次代を担う意欲のある農業後継者が育たなければ、今後の大分県農業の振興はありません。農業の担い手なくして大分県の農業の再生はあり得ないと、私もそのとおりに思っておりまして、これからはやはり企業家精神を持った、チャレンジ精神を持った農業後継者をどうやって育てていくか、これが農業再生のキーであると、こう私も実感を持っておるわけでございます。 そこで、その後継者対策ですが、まあ三つ考えております。 第一番目は、現在の農家の方の後継者の育成であります。 具体的には、今年度からは農業高校、農協、また農業委員会、また農家の方々が一体となりまして若い農業者育成確保促進事業というものをことしからやることにいたしておりますし、また、中核農業経営者育成強化事業ということで、中核農家の方を集めて経営の問題やいろんなセミナーも開く。特に大分県の中でも、甲斐議員が言われましたように、ある規模以上の農家の方は非常にやる気を持ってやっております。そういう方を農業指導士ということで指定をいたしております。そういう方々と私も懇談いたしました。こういう方々はまさに大分の農業の将来を担う方、そういった方々と農業後継者の若い方とー緒になっていろいろ議論をして、おまえたちもしっかりやれというようなことを言っていただくようなやり方をことしからやることにいたします。 また、特に私の一村一品運動も、あれは後継者づくりである、人づくりであるということで豊の国づくり塾というのをこさえて、既に七百人の卒塾者が地域づくりのリーダーとして頑張っておりますので、これと同じように今年度から農業平成塾ということで、東大の今村教授を塾長にいたしまして近く開設の運びになったわけでございまして、本格的な農業企業家精神を持った農業後継者づくりの塾としてこれを育てたい。 きょうの農業新聞によりますと、今度、ぶんご大野農協、新しく合併しましたぶんご大野農協で「やるき塾」という塾をつくってやろうというようなことが出ておりますので、最近は、今度は農協自身もそれぞれの農協の中でやる気を持った農業者を育てたいという、人づくりに努力する道が開けたということでございますので、甲斐議員の今まで言われたことはだんだんと浸透しつつあるように思うのであります。 第二番目は、これから新しく農業をやりたい人を大分県に導入して、ひとつそれを刺激にしていただこうということで、これからは今まである農業の後継者と新しくやる人、まあ両方を「農業企業家」と今度の新しい農業振興計画では呼んでおりますが、そういう方を参入させる制度を新規就農促進対策事業ということで、この企業家精神を持った、アントルプルヌール・シップを持った農業後継者の育成を図るということで、こういった方が農業を始めるときの生活資金、また新しい土地の確保等に格段の措置を講じて発表いたしましたところ、四名という枠に対し大変大きな数の申し込みがございまして、現在、具体的な申し込みの段階にはいっておりますが、具体的な申し込みになるとそれほど大きな数にはならないんじゃないかと思っております。 いずれにしても今月で締め切るわけでございますが、そういった脱サラ、これは今までは農業やってないし、農家の息子ではないけど新しく農業をやりたい、その農業をやることによって大変意義があったという方もたくさん私は知っておりますので、そういった方々を大分に来ていただいて、大分の中から脱サラで農業をやるという人をやっていって、まあ両方相まってひとつ大分県の農業の担い手づくりを進めていこうということを考えたわけでございます。 第三番目は、今ご指摘のございました農業高校、また農業実践大学校、こういったものの活性化であります。 先ほどから既に農業高校問題は、午前中の論議にもございましたようにこれからはやはり農業高校自身が、卒業生がやはり新しい農家の先兵となって働くような人を育てるという本来の趣旨に戻るべきだと私も思っておりますので、そういう意味では農業高校についてひとつ集中的な整備、農業の整備、またバイオテクノロジーその他新しい技術も入れて魅力ある高校にしていく、また、実践大学校についても、これから魅力ある実践大学校づくりというためには実践大学の先生自身がやはり魅力あるリーダーにならなきゃいかぬと、こう私は校長にも申し上げておりまして、今後は実践大学校の在学中にひとつ海外の農業を勉強して、それをレポートに出して、それも単位にするというようなこととかいろんな新しいことも私から指示して、今度の実践大学校のコースの中に、カリキュラムにも取り入れたりいたしております。 いずれにしても、農業高校、実践大学校、こういったところの先生方の活性化、魅力ある高校づくりにも教育委員会ともども、私も努力をしてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、人づくりは県農業の振興を図る上で一番のキーでございますので、今後とも県、市町村、農業団体、学校教育機関と連携をとりながら、人材の育成、確保をやってまいりたいと考えておるところであります。 次に、農業後継者づくりにおける農業改良普及所の問題でございますが、これまでも農業改良普及所ごとに二名の担当者を配置いたしまして、所員が分担をして農業後継者の育成、確保に努めてきたところでございます。これからとも、議員ご指摘の趣旨を体して、農業改良普及所においても農業のやる気を起こす農村青年の育成についてもっと積極的にやっていただくような方式を考えてみたいと、このように考えております。 また、ご提案がございました青年農業者育成基金制度でございますが、極めて傾聴すべき意見と、このように思いますので、今後の研究課題と、このようにさせていただきたいと思います。 その他の質問につきましては、担当部長より答弁いたさせます。 ○壁村史郎副議長 池辺農政部長。 〔池辺農政部長登壇〕 ◎池辺藤之農政部長 新規就農促進対策事業につきましてお答えを申し上げます。 この事業は、先ほど日野議員にお答えをいたしましたし、知事も先ほどお答えをいたしましたが、企業者マインドを持つ農業者の確保と新規就農者の集落への参加により農業、農村の活性化を図ろうとするものでございます。 議員ご提言の真剣な希望者の積極的な受け入れにつきましては、営農計画や受け入れ側との調整などを十分検討いたしまして、できるだけ努力をいたしたいと考えておりますが、一方では、就農者に提供いたします一定のまとまりのある農用地を数多く短期間で確保することは、農家の農地に対する資産としての保有傾向が強いこともありまして困難な面もありますので、今後は事業の進展を見ながら検討してまいりたいと考えております。 なお、この事業につきましては、広くマスコミに取り上げられ、その結果、北海道から沖縄に至る全国から問い合わせが寄せられているところでございます。 今後の広報につきましては、事業の実施状況などを踏まえまして対応してまいりたいと考えております。 次に、農業に対するイメージチェンジについてであります。 これまでも、農業の理解を深めるため、農村婦人生活体験記の発行、あるいは県の広報誌による先進農家の事例の紹介など各種の対策を講じてきたところであります。 今後とも、教育委員会との連携を一層密にしまして、農業高校生に対し、新しいさま変わりをした農業経営の実態を農業企業者との交流や体験実習などを通じて認識をしていただき、就農意欲の喚起を促進いたしますとともに、議員ご提言の趣旨を踏まえまして、都市と農村の交流促進、学童農園の設置、農業学習誌の発刊などを行い、さらに農業、農村のイメージアップを図り、就農促進に努めてまいる所存でございます。 次に、農業実践大学校卒業生の就農促進についてであります。 農業実践大学校では、高度な知識と技術を持った農業経営者の育成を図るため、プロジェクト学習による実践教育を通じて営農意欲の喚起と卒業後の新しい営農設計の樹立に努めているところであります。 また、魅力ある学校づくりを目指し、これまでもバイオテクノロジーやパソコンの導入など高度技術習得のための施設整備や、企業農家や大学教授を講師とする特別講座の開設を実施してきたところでありますが、今年度から海外体験実習を新たにカリキュラムに組み込むなど教育内容の一層の充実を図り、自信と意欲に満ちた農業後継者を養成し、父兄、農業団体などの関係者と一体となりまして、卒業後の就農率の向上に努めてまいりたいと考えております。 次に、大分県野菜振興協議会の設置についてであります。 野菜四百億円プロジェクトに沿って、収益性の高い施設野菜の生産拡大を流通対策も踏まえ計画的かつ効果的に推進するため、生産者、農業団体、行政のコンセンサスのもとに、実践的な機能を持つ野菜振興協議会を来る七月の四日に設立することといたしております。 この協議会には、県下十二地域ごとに支部も設置をしまして、本部との密接な連携のもとに産地の拡大、技術課題の検討、農家意識の啓発及び広域共販等を積極的に推進することといたしておりますので、県といたしましても、この協議会の活動に大いに期待をするとともに、今後、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○壁村史郎副議長 宮本教育長。 〔宮本教育長登壇〕 ◎宮本高志教育長 農業高校卒業生の就農への誘導対策についてお答えいたします。 農業高校におきましては、社会の進展や時代の要請に応じた生産性の向上を図るためのバイオ技術やコンピューターによる農業情報の処理に関する科目などを積極的に導入し、基礎学力の向上と農業経営技術の養成を図り、就農意欲の向上に努めているところでございます。 今後とも、地域の先覚者に学び、また農業高校と実践大学校、普及所などとの連携を強化するなど地域に根差した農業教育をさらに推進するとともに、希望の持てる農業経営像を示しながら、農業高校卒業生に対する就農への誘導を含めた適切な進路指導の充実に鋭意努めてまいりたいと考えておりますので、ご了承賜りたいと思います。 ○壁村史郎副議長 帯刀総務部長。 〔帯刀総務部長登壇〕 ◎帯刀将人総務部長 県立芸術短期大学の学科増設につきましてお答えをいたします。 近年の国際化、情報化、高齢化など新しい時代の変化に対応するとともに、豊かな触れ合いのある地域社会を創造し得る人材の育成を図るため、平成四年四月を目途に国際文化学科と情報コミュニケーション学科の二学科を増設することにいたしております。このため、去る五月十八日に学内外の大学教授等をメンバーとする大分県立芸術短期大学学科設置準備委員会を発足させたところでございます。 今後、この委員会を中心に、両学科の教育課程の編成並びに教員組織の編成を進めていくことにいたしておりますが、既に実施をいたしました企業へのアンケート調査結果等も踏まえ、科目の設定や教育機器の導入を図りますとともに、職業能力の育成につきましても弾力的にカリキュラム化したいと考えております。 また、学生、父兄の期待にこたえるため、一層の就職活動の展開もいたしてまいる所存でございます。 ○壁村史郎副議長 千手商工労働観光部長。 〔千手商工労働観光部長登壇〕 ◎千手章夫商工労働観光部長 商工関係につきましてお答え申し上げます。 初めに、中小企業近代化資金貸付償還金についてでございます。 貸付金の収入未済対策につきましては、債務者及び連帯保証人との折衝はもちろんのこと、特に担保権の実行、第三者との債務引き受け契約の推進等延滞の解消のための方策を講じて回収を図ってきたところであります。 昭和六十三年度及び平成元年度におきましては、競売の実行を三件、債務引き受け契約を四件締結いたしました。そのうち三件が完済し、残りにつきましては分割により回収を行っております。したがいまして、債務引き受けなどにより、現在の未済額の約四〇%につきまして回収の見通しが立ちました。 今後も引き続き、実効性の高い方策を積極的に実行してまいりますとともに、金融機関や関係団体とともに緊密な連絡連携を図り、貸付先に対する経営指導や債権管理の徹底など新たな延滞発生の未然防止に留意し、収入未済額の解消に努めたいと考えております。 次に、卸売業の振興対策についてであります。 大分市におきましては、かねてからの懸案でありました大分臨海流通センターヘの企業立地は完了することができました。 また、高速道路の段階的開通を迎えた現在、高速交通体系を活用した流通機構の整備を図ることが本県の商圏の拡大や営業活動の効率化、迅速化などによる商業振興の好機ととらえ、本年度から流通対策調査事業に取り組むことといたしております。この事業は、県内卸売業者に対する実態調査を実施するとともに、流通関連業界を中心とする流通問題懇談会を設置し、県内卸売業の果たすべき役割及びこれに必要とされる流通拠点整備について検討するものであります。 また、平成元年度に国のモデル地区の指定を受けて実施いたしました日田地区物流ネットワークシティ構想推進調査事業の結果を踏まえ、日田市においてはこのネットワーク構想を早期に実現するための総合推進体制を整備し、事業推進に取り組むと聞いております。 ご指摘のとおり、卸売業の振興は県内流通業の振興にとって重要な位置を占めておりますことから、今後とも引き続き流通拠点の整備に向けて努力してまいりたいと考えておりますので、ご了承賜りたいと存じます。 ◆甲斐信一議員 議長。 ○壁村史郎副議長 甲斐信一君。 ◆甲斐信一議員 自席から……。 一つは、知事に対してでありますが、農業改良普及所に私が人づくりの、後継者づくりの担当、専任を置かれないかということであります。 今、各改良普及所に、あんたがおっしゃられたように二人の担当者は置いておるようです。しかしこれが兼任で広範囲な地域の技術指導をやらなならぬもんじゃから、どうも後継者づくりのところに、方面に手が回らぬと、こういう実情のようにありますので、先ほどああいうことを申し上げたわけです。くれぐれもひとつ、大きなプロジェクトは結局、人がなきゃどうにもなりませんことをよくご認識いただきまして、専任職員の配置について前向きで検討していただきまするように要望しておきます。 それから、農政部長につきましては、県外か、新しい人がああいうふうに百五十三名応募があったと。でまあ、あなたがおっしゃるように土地の世話などが急にできなくて--そういう場合でもですね、私現地を見て考えましたのに、企業的農業をやっておるところの中で月に二十万円をちょっと超える収入を得ておる、雇われておる人もおるわけです。だから、そういうのにとりあえず就職のお世話をして、そして大分県になじんでもらって、あと大分県で自営農業をやるというような順序を踏んでいただくことも考えの中にわしは入れちょっていただきたい、こういうことを申し上げたい。 それから、教育長にはですね、先ほどの答弁を聞きまして、鋭意努力するという「鋭意」がだいぶん--いや、だいぶんじゃねえ、はいっておりますから、あっこに存分あなた力入れてやな、鋭意本当にやってもらわな悪いので、その点をひとつ申し上げておきたい。 それから、千手商工労働観光部長にはですね、六十三年度の私、監査委員の指摘のところを見てみましたら、やっぱり十七億数千万円が未収金として残っておりました。恐らくその後、あなたが今答弁されたような整理をなされたんじゃろうと私は思うんですが、大体そういうことですか。--そうですね。そいじゃまあ、もうあとの各部長、教育長含めて答弁は要りません。要望をしておきます。 以上で終わります。 ○壁村史郎副議長 安部紀昭君。 〔安部議員登壇〕(拍手) ◆安部紀昭議員 少々ユーモアのある甲斐議員の質問の後でやりにくい点もございますけれども、せっかくの質問の機会をいただきましたので、率直端的に質問してみたいと思います。 特に池辺農政部長さん、甲斐議員さんの言うとおり、やる気満々でございます。農政そのものについて二、三点質問させていただきたいと思います。 まず、国営パイロット事業についてもう一度だけ、お尋ねしたいと思います。 私の地元であります安心院町においては、国営総合農地開発事業を総事業費七十九億六千万円で五百九十ヘクタールの農地造成を行ったわけでございます。西日本を代表するブドウ団地が育成されたことは、大分県農業振興上、画期的な成果として高く評価されるものでございます。しかしながら、並行して実施されました国営かんがい排水事業や河川沿いに行われた県営圃場整備事業の追加事業により、一部の農家では累積年償還負担金が増しております。 例えば、当事業でかかる地元負担金総額、十アール当たり二十一万四千五百五十円が造成地であります。水田錯綜で十二万二百八十六円、単純部で四万三百五円をそれぞれ年賦償還しておるわけでございます。また、これに加えて、県営圃場整備では大規模農家で約六十万円を年賦償還をしていると聞いております。 これに加えて、団体営あるいは小規模事業など種々の制度事業の受け入れを行った農家では、特に十三ヘクタール余りも経営する農家がございますが、この人の年賦償還額が年に百八十万円、これに土地改良に負担する経常賦課金が約百万、合わせて二百八十万近くですが、こういう大きな負担をしておる農家も聞いております。 最近の米価低迷、水田再編の進む中で負担に耐えない農家が出現する状況にありますが、このような農家群や、あるいは安心院土地改良区あるいは県下の土地改良区を救済するいろんな施策はないのか、農政部長の見解をお伺いしたいわけでございます。 次に、国営パイロット事業に関連して、土地改良法の改正についてお伺いをいたします。 昭和三十四年、当時の木下知事が農工併進を政策の柱として打ち出しましたが、そのときの農業のモデルは、特に私ども安心院町を中心にした国営開拓パイロット事業であります。工業は、ただいま新日鐡がはいっております大分鶴崎臨海工業地帯の開発であったと記憶しておりますが、その後約三十年、日本経済の発展により、大分鶴崎臨海工業地帯は新産業都市の優等生として大成功をおさめて現在に至っております。また、国営パイロット事業も、ビニール製品の加工技術向上により安定したブドウ園経営が可能となり、高く評価できるものと思っております。 工業製品は、一つの規格をつくれば何年も、あるいは何十年も利用できるわけですが、農産物は自然を相手に毎年違う気象条件と闘いながらの栽培で、必ずしも安定しておるとはいえません。全国六十六カ所にあります国営パイロット事業の地域内ではさまざまな問題を抱えながら現在に至っておるのが実情でございます。 そこで、土地改良区や農家の大きな負担となっている国営パイロット事業の国有財産の管理についてお尋ねをいたします。 国営パイロット事業として施行したうち、道路、揚水施設、それから導水路が国有財産として残っておるわけでございます。この管理について土地改良区が行うことになっておりますが、このための管理費用について、組合員の賦課金による協力を仰ぎながら土地改良区が負担しておるわけでございます。これは土地改良区の財政を圧迫するとともに、組合員の負担を重くしております。このように公共性の強い土地改良施設の維持管理を国の方で行えないものか。国の法律事項であれば、土地改良法の改正について県から、あるいは知事さんから特に農林水産省に働きかけをしていただきたいわけでございます。 また、導水路の維持管理費を土地改良区に納めるようにしていただきたい。これは大変、その農家の経常賦課金として負担がだんだん、年々大きくなっておるわけでございます。 質問の第二に、農業所得についてお伺いをいたします。 農家経済調査によると、昭和六十三年度の本県の一戸当たり農業所得は四十五万一千九百円と九州で最も低くなっておりますが、これを月平均に直しますと約四万円であります。余りにも低い数値であると思うわけですが、これは県下の大多数を占める第二種兼業農家等を含むためであり、必ずしも本県農家の実態を把握する数値とはなっていないのではないかと思います。専業農家や第一種兼業農家を取り出してみると、もっと違った結果になるのではないかと思われます。 このたび公表された新農業計画にうたわれているように、これからの大分県農業を中心となって担っていくのは農業を生計の柱とする農家であり、これらの実態を把握することがまず重要であると考えられます。 そこで、この点に関してどのような考えを持っているのか、具体的な取り組みがあれば示していただきたいわけでございます。 質問の三に、県産野菜における地場市場の確保と大消費地の販売対策についてお伺いをいたします。 二十一世紀までの十年間に生産の拡大と低コスト生産に重点を置きながら、今の農業所得を二倍にすることを目指した大分県新農業振興計画が先日公表されました。 これを見ますと、施設園芸の振興と肉用牛の増頭が柱となり、五大プロジェクトを推進することとしております。特に、野菜の振興に当たっては施設野菜の拡大を重点に推進することにしており、これら施設野菜の京浜、京阪神等大消費地における販路拡大が計画され、適切であると考えておりますが、しかし、県内の卸売市場への入荷状況を見ますと、県内産の充足率の低い品目が見受けられるわけであります。したがって、これらの自給率向上を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。 また、最近のように消費者志向が非常に変化しております。こういう中で的確な情報を収集することが重要であると考えます。このため、京浜、京阪神あるいは中京等大消費地に駐在員を設置あるいは増員し、的確な情報収集と産地への供給を行うことが必要であります。これらの情報に対応した販売対策の強化が必要であると思いますが、以上の点について農政部長さんの見解をお伺いいたします。 四番目の質問として、専業農家の育成についてお尋ねをいたします。 県内の市町村長さんは、地元への企業誘致に大変なエネルギーを注いでいるようでありますが、このことは裏を返せば、一次産業に従事する人たちの生活基盤を確保し、人口の流出に歯どめをかけようとすることのあらわれであると思われます。平松知事さん先頭に立って企業誘致に努力され、ほんとによい結果があらわれつつあることは評価するものでありますが、国民一人一人の食糧を確保するためには、一定水準の専業農家戸数を確保することが必要であるのではないでしょうか。 今春、知事さんみずから県下各地に足を運ばれ、つぶさに農家の実態を視察いただいていますので、十分ご承知のことと思いますけれども、知事さんが現地で視察し意見を交換した、いわゆる中核的な農家の人は、その地域のほんとに中核的農家として指導者であり、自助努力により経営も安定している人たちが大部分であります。こうした人たちは、行政の援助がなくても自立できるし、また後継者や若い経営者が比較的確保しやすい状況にあります。 しかし、大部分の農家は厳しい状況にあります。ちなみに農業地帯、まあ安心院町の農家は県下の町村の中で中程度で、この水準に私はひとつ的を絞って知事さんにお聞きしたいと思います。 その安心院町の農家の状況を見ますと、総農家戸数が千九百六十一戸、うち専業農家が四百四十六戸、第一種兼業農家が四百九上戸でありまして、第二種兼業農家が千二十五戸、約半分以上が第二種兼業農家となっております。 その専業農家あるいは兼業農家の中で納税義務者はわずかに七十三戸しかないわけでございます。この七十三戸の納税義務者の一戸当たりの平均所得額を見ますと百四十一万三千四百三十八円、このくらいにしかならないわけです。いわゆる千九百六十一戸の農家と称する家庭から、専門的な専業農家から税金を納めている人は七十三戸しかないということなんです。これを私は、大体、県下の比率からすると、今農林省の統計調査が持っておる農家戸数からするとこういう比率で、恐らくよその市町村もあるんじゃないかなという見方をしております。 で私は、今行政が最も力を入れなきゃならないのは、専業農家と一種兼業農家の技術指導や経営指導の応援をすればかなり専業農家として、あるいは中核農業者として自立できるんじゃないかなと、まあ意欲を持って農業経営に取り組む人たちへの施策であります。 先日、仲道議員に農政部長さんがお答えの中でちょっと私、気になることがありましたんで、申し述べてみたいと思いますが、地域営農集団を育成したいと非常に強い、いい答弁をしていただきました。これも結構でございます。ただ、この地域営農集団を取り入れるとなかなか、中核的な農家の戸数がふえない。非常に一種兼業農家は結構ですけど、二種兼業農家まで抱き込まないとなかなか、この地域営農集団というものは法的に難しいわけでございます。そういう意味からすると、これに地域営農集団を育成することになるとなかなか中核農家はできない。ここら辺ちょっと私は、難しい面があると思います。 そこで、早急に県独自の制度、本県農業だけの制度をつくっていただいて農業浮揚の原動力としていただきたいと考えますが、いかがなものでしょうか。 最後に、農業技術指導者の確保と技術向上対策についてお伺いいたします。 県では、施設園芸の生産拡大を強力に推進するため、緊急対策事業を県単事業として実施しておりますが、この事業は九州各県に例を見ない高率補助と事業費枠を持っており、知事さんの農業振興に対する熱意のあらわれであると評価しているところであります。しかし、施設園芸を導入するには多額の投資と高度な技術が必要であり、施設化に伴う技術指導は不可欠でありますが、現在、市町村や農協において高度な技術を有する指導者が不足傾向にあると言われております。農業技術者の確保とその技術向上対策をどのように考えられておられますか。 幸い新農業振興計画が策定されましたので、まあひとつ農政部長さんを中心にして、この対策が絵にかいたもちにならないように一生懸命努力していただきますことをお願い申し上げて、私の質問としたいと思います。終わります。(拍手) ○壁村史郎副議長 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 安部議員の私に対するご質問にお答え申し上げます。 専業農家の育成の問題でございます。 二十一世紀に向けて足腰の強い県農業を確立していくためには、みずからの創意と工夫によってすぐれた技術とコスト意識に立脚した自立できる専業農家の育成が重要であることは、私もそのとおり認識をいたしております。 で、ただいま安心院町の実例で詳しく申されましたが、確かに現在の専業農家の方々の比率は非常に低いと、また、そういう方は県がいろいろと手を差し伸べなくても自立できると。問題は一種兼業、またぜひ専業農家になりたいという一歩手前の方をいかに引き上げるかと、私もそのように考えております。 そういったことに対しまして、今度ひとつ新しく農業経営体質強化特別事業ということで、まあいわばマン・ツー・マンで、農業改良普及所の方々が一人が十戸ずつ農家を担当して個別的な指導、濃密な個別経営指導ということをやっていくような措置も講じたわけでございまして、これからはできるだけ第一軍に上がる選手を育成して、上げていくと。そのために農地の利用集積による規模の拡大、土地改良事業による生産基盤の整備、圃場整備といったようなことで、その一歩手前の方々に対する濃密な指導というのを個別にやっていこうという施策もとったわけでございます。全部これで一遍に何もかもできるわけじゃありませんが、一つずつつぶしていくという意味でこういう考えをいたしました。 また、本年度からはさらに農業経営者の経営管理能力の向上をやるということで、中核農業経営者育成強化事業といったことを考えまして、こういった方に経営技術といったものもいろいろ教えていくということでございます。 また、これからそういう専業農家の中にはいりたいという方々のハウス栽培施設の拡大を図るための野菜及び花きの生産拡大緊急対策事業、これも補助率をこれまで二分の一を県二分の一、町村六分の一ということで全体で三分の二の補助率アップにいたしておりますので、今、議員言われましたように、これからの技術指導はもちろんでございますが、こういった助成措置を最大限に利用していただきまして、ひとつ新しい専業農家に上がっていただきたいと、このように考えておるわけであります。 また、肉用牛繁殖経営農家の経営安定のために、豊後牛ニュードリーム繁殖経営育成事業、これもあんまり大きな規模の頭数ではなくても、小さな頭数を持っている方々にも一段階、二段階、三段階--ホップ・ステップ・ジャンプというやり方で、それぞれの規模に応じた育成をやっていこうということで自立経営を目指す農家に対する支援を強化していきたい。要するに、やる気のある農家の方をどんどん育成をしていって自立農業をやっていただく、こういうことを今度はかなり入れておりますのでもう少し、専業農家の数が少しずつふえていくんではないかと、こう期待をいたしておるわけでございます。 あとの答弁は農政部長からいたさせます。 ○壁村史郎副議長 池辺農政部長。 〔池辺農政部長登壇〕 ◎池辺藤之農政部長 土地改良事業負担金償還条件の緩和についてお答えをいたします。 議員ご指摘のように、安心院地区は大規模な総合農地開発事業のほか幾つかの事業が重複しているために、受益の程度によりまして償還額が高額となっている農家もございます。これまでも償還が困難な場合には償還円滑化資金、いわゆるリリーフ資金、こういう資金等で対応してまいりましたが、今年度国におきましてさらにこれを拡充し、土地改良負担金償還平準化事業、これによりまして、負担金の償還が困難な地区を抱える土地改良区などに対しまして、毎年の償還金のうち一定の額を超える部分を後年--後ろの年でございますが、後年に繰り延べるための資金の借り入れについて無利子となるように利子補給を行うこととされたところでございます。今後はこの制度の活用を図るなど、該当地区へのきめ絹かな対応をしてまいりたいと考えております。 次に、土地改良法の改正についてであります。 土地改良事業は、受益者の同意のもとに申請に基づいて実施するものでありまして、事業によって生じた土地改良施設は受益者みずから管理することが建前となっております。国営事業で造成された導水路など基幹的な土地改良施設は、公の利益に重大な関係を持つため国有財産とするよう土地改良法で定められているところでございます。 しかしながら、施設の大規模化、高度化に伴い適切な管理を図る上でも施設管理の公的関与が要請されてきましたことから、施設の維持、補修等は土地改良施設維持管理適正化事業、土地改良施設管理設備修繕事業などの助成措置が講じられてきたところでありますが、なお、揚水ポンプの運転経費等につきましては、経常的経費は対象外というふうになっております。したがいまして、受益者負担の軽減を含めた施設管理が円滑に行われるよう今後とも国に対しまして、法改正を含めた管理制度の拡充等について引き続き要望してまいりたいと考えております。 次に、農業所得についてであります。 議員ご指摘の数値は、国が毎年実施しております農家経済調査によるものでありますが、この調査は対象農家が経営耕地面積十アール以上または農産物販売額が十万円以上となっており、この調査の性格上、本県の農業を中心となって担っている農家の実態を把握しにくい面がございます。このため、統計情報事務所との協力のもとに、中核的農家を対象とした農家動向調査を今年度から実施し、農業を生計の柱とした本県農家の実態把握に努めてまいりたいと考えております。 次に、県産野菜の充足率向上と大消費地の販売対策についてであります。 現在、県内市場における県産野菜の充足率は六一%で、ニンジン、レタス、タマネギ、バレイショなど一部に低い品目もございます。このため、県内で生産拡大の可能なレタス、タマネギなどの品目を中心として、地場野菜生産流通振興対策事業や野菜生産拡大緊急対策事業などによりまして充足率の向上に努めているところでございます。 また、大消費地への販売対策でありますが、県では東京、大阪事務所に既に担当者を配置しており、県経済連においても東京駐在を本年度新たに設置したほか、大阪駐在の増員もいたしましたので、今後とも団体との連携を強化し、おおいた野菜銘柄確立対策事業を積極的に推進するなど消費地活動の充実を図ることといたしております。 また、大消費地における消費者ニーズや産地情報など流通情報を的確に把握するとともに、販売情報であります売り立て仕切り情報システム、こういうシステムの活用を図り、販売対策の強化に努めてまいりたいと考えております。 最後に、農業技術指導者の確保と技術向上対策についてであります。 施設園芸の振興を図る上では、高い技術力を備えた技術指導者の確保と資質の向上は緊急の課題であります。このため、これまでも農業改良普及員の技術指導力向上のため各種研修を実施するとともに、農協の営農指導員の技術向上研修への積極的支援や試験研究機関での受託研修などを行ってきたところであります。 本年度から実施する施設園芸の緊急対策事業の推進に当たりましては、普及所、市町村、農協の技術者を対象にイチゴ、ハウスミカン、花卉の高度技術研修を集中的かつ継続的に実施することにしており、特に野菜四百億円プロジェクトの中心となるイチゴにつきましては、各農協に専任指導員の設置を働きかけるなど、県、市町村、農業団体が一体となって指導体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○壁村史郎副議長 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○壁村史郎副議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。     ----------------------------- ○壁村史郎副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。     ----------------------------- ○壁村史郎副議長 本日は、これをもって散会いたします。     午後三時十九分 散会...